5月5日、岸田文雄首相は英国の金融街シティーで講演し、「資産所得倍増を実現する」と表明しました。「貯蓄から投資へ」という政策を進めるものですが、一般の人たちからは冷ややかな反応。果たして、岸田首相の思惑通りに進むのでしょうか。
貧困加速…「大卒で手取り26万円」「1人当たり名目GDP、振り向けば韓国」日本人のキツすぎる現在地 (※画像はイメージです/PIXTA)

2000年以降、日本の貧困化が止まらない!

貯蓄から投資へという岸田首相の思惑。しかし大卒のサラリーマンでさえ、手取り26万円程度という現状から考えると、多くの日本人は「投資しようにも、元金が……」というのが現状かもしれません。

 

国の豊かさを語るうえでよく取り上げられる「1人当たり名目GDP」をみていくと、トップは「ルクセンブルク」。以降、「アイルランド」「スイス」「ノルウェー」「シンガポール」と続きます。「日本」は世界28位。30位には韓国、32位には台湾と続きます。

 

【「1人当たり名目GDP」トップ10】

1位「ルクセンブルク」136,701

2位「アイルランド」99,013

3位「スイス」93,720

4位「ノルウェー」89,090

5位「シンガポール」72,795

6位「米国」69,231

7位「アイスランド」69,033

8位「カタール」68,581

9位「デンマーク」67,758

10位「オーストラリア」63,529

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28位「日本」39,340

30位「韓国」34,801

 

出所:IMF(国際通貨基金)2021年

 

先進国・日本の印象が強い世代からすると、この順位は意外でしょうか。この順位、「日本の定位置」というわけではありません。2000年代初頭の2001年。この年、日本は「1人当たり名目GDP」で世界第5位で3万4,411米ドル。その前の年は世界第2位で3万9,173米ドルでした。1990年代、日本はトップ10の常連国だったのです。

 

当時、韓国は世界38位で1万1,563米ドル。そこから20年、順位は10ほどあげ、金額は3倍になりました。それに対して日本は、順位は大きく下がり、金額はそのまま。一向に豊かにならない、相対的に貧しくなっているといえるのです。

 

前述のとおり、今回、岸田首相は労働所得向上についても意欲を示しています。多くの日本人が投資を考える、そんな余裕が生まれるよう、期待せずにはいられません。