5月5日、岸田文雄首相は英国の金融街シティーで講演し、「資産所得倍増を実現する」と表明しました。「貯蓄から投資へ」という政策を進めるものですが、一般の人たちからは冷ややかな反応。果たして、岸田首相の思惑通りに進むのでしょうか。
貧困加速…「大卒で手取り26万円」「1人当たり名目GDP、振り向けば韓国」日本人のキツすぎる現在地 (※画像はイメージです/PIXTA)

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大卒サラリーマン…手取りの中央値は月額26万円

今回、岸田首相は政権が掲げる経済政策「新しい資本主義」を説明し、「岸田に投資を(インベスト・イン・キシダ)」と呼びかけました。さらに2,000兆円ほどある日本の家計の金融資産、そのうち半分以上が預貯金であることに注目し、「貯蓄から投資への大胆かつ抜本的なシフト」「投資による資産所得倍増を実現」と話しました。

 

資産所得は、株式の配当などから得られる利益で所得を増やすということ。厚生労働省『国民生活基礎調査』(2018年)によると、1世帯あたりの資産所得は15万8,000万円。それを30万円ほどにするということになります。そのために、少額投資非課税制度(NISA)の拡充、預貯金を資産運用に回す仕組みづくりなどを進めるとしています。

 

金融庁『NISA口座の利用状況調査(2021年6月末時点)』によると、NISA総口座数は、1,654万8,428口座。そのうち一般NISAは1,237万2,998口座*、つみたてNISAは417万5,430口座、ジュニアNISAは56万9,639口座。年齢別にみていくと、40代~70代で各16~17%を占めています。また買付額は23兆9,961億3,138円。3ヵ月までの同調査と比較し、口座数も買付つけ額も4%ほど増加と、確実に資産形成への関心は高まっているようです。

 

*一般NISAの口座数は、基準日時点で、金融機関に対してマイナンバーの告知がされておらず、2021年の投資利用枠が設定されていない口座数を含む

 

【年代別比率「NISA(一般・つみたて)/ジュニアNISA口座数】

20代:7.7%

30代:14.8%

40代:17.6%

50代:17.3%

60代:17.6%

70代:16.7%

80代以上:8.3%

 

出所:金融庁『NISA口座の利用状況調査(2021年6月末時点)』

 

また岸田首相は、同講演で賃上げ税制などを推進し、労働所得の増加策についても力説しています。兼業・副業や学び直しを後押しし、雇用の流動化を推し進めていくとしています。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本人の平均月収(所定内給与額)は30万7,400円。正社員だけに限ると32万3,400円、男性大卒に限ると39万4,400円。手取りにすると、およそ29万円ほどです。これはあくまでも平均値。中央値は34万3,600円で、手取りは26万円ほどになります。

 

また年齢別にみていくと、年齢と共に手取りは増えていき、50代でおよそ35万円ほどでピークに達する……これが一般的な大卒サラリーマンの実情です。

 

【大卒男性・年代別「月収・中央値」】

20~24歳:225,700円

25~29歳:253,200円

30~34歳:291,400円

35~39歳:335,300円

40~44歳:377,300円

45~49歳:422,400円

50~54歳:474,800円

55~59歳:478,900円

60~64歳:357,900円

出所:厚厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より