不動産投資を行い場合、どのようなローンを利用すべきなのでしょうか。基本中の基本のことでも、営業トークにのせられて、悲劇的な顛末を迎える投資家も。不動産投資ローンと住宅ローンの基本についてみていきましょう。
営業マン「住宅ローンで不動産投資ができますよ」…口車にのった投資家の苛酷な末路

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不動産投資ローンと住宅ローンの違い

不動産を購入する際に利用できるローンとして、不動産投資ローンと住宅ローンがあります。この2つのローンは似ているようですが、様々な違いがあるため注意が必要です。

 

不動産投資ローンと住宅ローンは、大きく分けて以下の3つの違いがあります。

 

  • 借入の目的
  • 返済原資
  • 審査基準

 

それぞれについて説明していきます。

 

借入の目的

まず1つ目の違いは資金を借り入れる目的です。

 

不動産投資ローンは、購入した不動産を賃貸物件として運用し、家賃収入を得ることや不動産を売却して売却益を得る目的で利用します。一方で住宅ローンは自身が居住するための住宅を購入するか、改築することを目的として融資を受けるものです。

 

なお、不動産投資のために住宅ローンを利用することは契約違反に該当します。そのため、不動産投資のために住宅ローンを利用することはできません。

 

返済原資

2つ目の違いは返済原資の違いです。

 

不動産投資ローンは不動産を運用して得た家賃収入を原資として返済を行います。一方で住宅ローンは自身が働いて得た給与収入や事業収入から返済を行う形です。

 

ただし、不動産投資ローンを利用していても、空室や入居者の滞納などで家賃収入が得られない場合は自己資金で返済する必要があります。

 

審査基準

3つ目の違いは審査基準の違いです。

 

「国土交通省の行った令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると住宅ローンの審査項目として、以下の項目を多くの金融機関が挙げています。

 

  • 国籍
  • 借り入れ時の年齢
  • 完済時の年齢
  • 年収
  • 返済負担率(年収に対する年間の返済割合)
  • 雇用形態
  • 勤続年数
  • 融資可能額
  • 担保評価
  • 健康状態
  • カードローンなどの債務状況や返済履歴
  • 連帯保証人
  • 金融機関の営業エリア

※構成比50%以上のものを選出

出典:国土交通省の行った令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

 

上記の項目の中でも特に「借り入れ時の年齢」や「完済時の年齢」、「年収」、「返済負担率」、「勤続年数」、「担保評価」、「金融機関の営業エリア」、「健康状態」、「連帯保証人」の項目は回答した金融機関のうち90%以上の金融機関が審査項目として挙げているため、重要な審査基準と言えます。

 

一方で不動産投資ローンの場合は上記の審査項目に加えて、物件の収益性も重要な審査項目です。前述したように不動産投資ローンは家賃収入で返済を行うため、物件の収益性は金融機関にとって重要な審査項目になります。

 

収益性が悪く家賃収入が見込めない物件だと、債務者が返済できなくなる可能性が高いためです