日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、マイホームの夢と諦め、わが子のために都内屈指の「文教地区」である文京区に引越した会社員の事例をみていきましょう。
年収600万円の会社員…わが子のため文京区に引越したが、家賃18万円に「もう無理」

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文京区がファミリー層から圧倒的な人気を誇るワケ

都内の「住みやすい街・住みたい街」は数あれど、こと「子どもの教育」に焦点を当てた場合、真っ先に名前が挙がるのが「文京区」です。

 

文京区には、東京大学をはじめとした名門校が多くあります。そのため、わが子をそれらの学校に通わせたいと願う教育意識の高いファミリー層が必然的に集まりやすく、受験などの情報交換も盛んであるといいます。

 

実際、都の教育委員会が報告した『令和2年度公立学校統計調査報告書「都内公立中学校等進学者数」』によると、令和2年度の文京区の都内中学校進学者のうち、およそ46%の生徒が国立または私立中学校へと進学していることから、文京区の教育レベルの高さは東京23区内でも群を抜いています。

 

そんな文京区のなかでも特に名門校として広く知られているのが、誠之小学校(S)、千駄木小学校(S)、昭和小学校(S)、窪町小学校(K)……4校のイニシャルをまとめて通称「3S1K」と呼ばれる公立の小学校です。その人気は圧倒的で、この4校に入学するために文京区へ転居する「公立小移民」がいるほど。


このように、都内において人気学区の物件は、ピンポイントで探し続けている親もいるうえ、需要があるぶん資産価値も高いとされます。また、元々の立地も良く、なにより物件数が圧倒的に少なくなることから、物件価格も非常に高額です。

 

そこで、「公立小移民」のなかにはマイホームではなく、賃貸で一時的に文京区に住むファミリーも増えています。

 

ただし、区のほとんどが山手線の内側で交通の便も良く、上記のように物件の数が少ない文京区のファミリー向け物件は、家賃も当然高額です。「わが子のため」と思い過ぎるあまり、収支バランスを顧みずに「なんとかなるだろう」で引越しを決断した結果、子どもの教育どころか自分たちの生活すら危ぶまれる事態にも発展しかねません。