「住宅ローンで不動産投資ができる」…営業トークに注意
前述したように住宅ローンで不動産投資を行うことは違法行為に該当するため、基本的にできません。しかし、悪質な投資会社の営業マンが「不動産投資でも住宅ローンを利用できますよ」と営業トークをしてくる場合があります。
仮に収益用不動産を住宅ローンで購入したことが金融機関にバレてしまうと、以下2つの事態に陥ってしまうでしょう。
- 取引した金融機関から一括返済を求められる
- 取引した金融機関からの借り入れが難しくなる
それぞれについて説明していきます。
金融機関から一括返済を求められる
住宅ローンで収益用不動産を購入することは契約違反に該当するため、金融機関から一括返済を求められます。この際に一括返済できない場合、自己破産などの債務整理をする事態になりかねません。
債務整理をすると信用情報機関に登録されてクレジットカードが利用できないなどの様々なデメリットを受けることになってしまうため、絶対に不動産投資で住宅ローンは利用しないようにしましょう。
取引した金融機関からの借り入れが難しくなる
不動産投資に融資することは金融機関にとってリスクがあることです。そのため、住宅ローンよりも審査を厳しくし、金利も高く設定しています。
そういった中で金融機関を騙して住宅ローンを不正利用すると、今後その金融機関から融資を受けることは非常に難しくなる可能性が高いです。
不動産投資で住宅ローンを利用できるケースは?
前項で不動産投資における住宅ローンの利用は基本的にできないと説明しました。ただし、一部例外があります。それは「賃貸併用物件で自宅部分の床面積が建物の総面積50%以上」という条件を満たした物件の場合です。
住宅ローンと不動産投資ローンはどっちを先に利用するべき?
住宅ローンと不動産投資ローンの両方のローンを利用する場合、どちらを先に利用すべきなのでしょうか。結論から言うと不動産投資ローンを先に利用することをおすすめします。その理由について説明していきます。
不動産投資用物件からの家賃収入で年収が増える
1つ目の理由は不動産投資用物件からの家賃収入によって年収が増えるためです。前述したように住宅ローンの審査項目で年収は重要な項目になります。したがって、年収が増えることで金融機関から融資を受けることができる可能性が高くなるのです。
また、年収が増加することで返済負担率が下がることも、融資審査に通る可能性を高くする要因になります。このように不動産投資ローンを先に組むほうが融資審査に通る可能性が高くなります。
キャッシュフローで自己資金を貯めやすい
2つ目の理由は不動産投資からの家賃収入でプラスのキャッシュフローが出ている場合、自己資金を貯めやすいことです。そのため、仮に住宅ローンでフルローンの審査に落ちたとしても、貯まった自己資金から頭金を増やすことで、融資審査に通る可能性が高くなります。
ただし、キャッシュフローがマイナスの場合には、自己資金が貯まらないので注意が必要です。不動産投資でプラスのキャッシュフローが出ていることが重要になります。
住宅ローンと不動産投資ローンが併用できない場合
両方のローンが利用できないケースとして考えられるのが、返済負担率が高額になっているケースです。
返済負担率とは年収に対する年間の返済額の割合のことで、「国土交通省の行った令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、返済負担率は35%〜45% を目安にしている金融機関が多い傾向です。
そのため、この返済負担率を超えた金額の融資を受けようとすると、審査に落ちる可能性が高くなります。
■まとめ
不動産投資ローンと住宅ローンには、利用目的や審査基準などに違いがあります。この違いをよく理解しておかないと、悪徳な業者に騙されてしまったり審査に落ちてしまったりといった事態になりかねません。
また、両方のローンを利用する場合は、ローンを組む順番を理解しておくことが重要になります。順番をよく理解しておかないと、片方のローンしか利用できなくなってしまう可能性もあるため注意するようにしましょう。
山崎 博久
リズム株式会社
アセットコンサルティング事業部長