公的年金は、基本的に65歳から受給開始となり、その場合の満額支給額は毎月6万4,816円です(2022年度)。ただし、受取額は変わるものの、希望すれば60歳から受け取ることも、反対に75歳から受け取ることもできるため「どのタイミングで受給を開始すべきか」という議論が後を絶ちません。今回、年金の受給開始時期を繰り上げた場合、繰り下げた場合でそれぞれシミュレーションしていきます。
「国民年金」受給開始のタイミング…損益分岐点は?【シミュレーション】

繰り上げ・繰り下げ受給の「損益分岐点」は何歳?

では、年金を5年繰り上げて受給開始した場合と、5年繰り下げて受給した場合……それぞれについてシミュレーションしてみましょう。

 

まずは、通常どおり65歳から受給を開始した場合をみていきます。2022年度の満額受給額は6万4,816円(以降6万5,000円として算出)、年間で77万8,000円です。つまり、70歳で466万7,000円、75歳で855万6,000円、80歳で1,244万5,000円、85歳で1,633万4,000円となります。

 

次に、5年繰り上げて60歳から受給開始した場合、倍率は0.76%、毎月の受取額は4万9,000円、年間59万1,000円となります。つまり、65歳で総額354万7,000円、70歳で650万2,000円、75歳で945万8,000円、80歳で1,241万4,000円、85歳で1,536万9,000円となります。

 

5年繰り下げて70歳から受給開始した場合、倍率は1.42%、毎月の受取額は9万2,000円、年間110万4,000円となります。つまり、75歳で662万7,000円、80歳で1,214万9,000円、85歳で1,767万1,000円となります。

 

こうしてみると、繰り上げ受給の場合は79歳、繰り下げの受給の場合は81歳がそれぞれ損益分岐点となります。ちなみに、同様の算出により75歳から受取を開始した場合、86歳が損益分岐点となります。

 

もちろん、自分が「あとどれくらい生きるのか」は誰にもわかりませんし、年金は損得ではないため、一概に「何歳から受給すべき」とは言えません。それぞれがどのような老後を実現したいかによって、受給開始の時期を選択するとよいでしょう。