「頑張ってマイホーム実現」はいずれ破産する可能性が高い
「ギリギリだけど、思いきって買ってしまおう」
前述の平均的な会社員家族がおよそ6000万円ほどのローンを利用して、マンションを買ったとしましょう。購入時の返済負担率は35%と上限いっぱいで、家計もギリギリといったところ。ただ年齢共に給与はあがり、一方で返済負担率は下がっていきます。
【月返済17万円…各年代の返済負担率の推移】
40代前半:591万1,100円/35%
40代後半:627万3,400円/32%
50代前半:671万9,400円/30%
50代後半:666万0,700円/30%
※年収は厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
ただしこの家族の先行きはかなり暗いといってもいいでしょう。主な理由は2つ。1つ目は、収入増と共に支出増となることが考慮されていない、ということ。
総務省『家計調査』によると、教育費のピークは50代前半。ちょうど子どもが高校生や大学生になったころでしょうか。年齢と共に給与が上がっても、支出も増えるので、ローン返済が楽になるとはいえないでしょう。
【年代別「子どもの教育費/月」】
30代後半:1万1,305円
40代前半:2万0,797円
40代後半:3万2,665円
50代前半:3万6,856円
50代後半:2万0,626円
出所:総務省『家計調査』2021年より
もうひとつ、定年以降の収入減が考慮されていないということ。前述の厚生労働省の調査によると、60代前半で年収は477万円と50代後半と比べて3割減。さらに60代後半では383万円と、さらに2割減。返済負担率は60代前半で42%、60代後半で53%に跳ねあがります。
このように、住宅ローンを活用する際には、現在の収入だけでなく、将来的な収入の増減、支出の増減も加味して考えないと、特に定年後に生活が破綻することは火を見るよりも明らか。長期的、かつ綿密なマネープランが必須です。