老後2,000万円は必要といわれていますが、介護施設への入居まで考えると、いくらくらいかかるのでしょうか……みていきましょう。
老後2,000万円夫婦でも余裕ナシ…現実直視の「老人ホーム請求額」

老人ホーム…実際に入居したら、どれくらいの費用が必要?

施設に入るには条件があります。まずは要介護度。たとえば、介護老人保健施設や介護療養型医療施設は要介護1~要介護5が対象で、特別養護老人ホームは原則、要介護3~要介護5が対象です。また入居年齢も原則65歳以上と定められています。

 

またどこの施設も入居契約の際は、原則、保証人や身元引受人が必要となり、通常は家族がなることが多いようです。

 

さらに入居の際には支払い能力もみられます。資産などを含め、利用料を支払えるかを施設が審査を行うこともあります。

 

では老人ホームを利用するには、どれほど必要なのでしょうか。民間施設は、公的施設を補完する水準のものから、入居金に1億円などという、この世のものとは思えないレベルのものまでピンキリです。

 

一方、公的施設の場合、居宅サービスについては、利用できるサービス料(支給限度額)が要介護度別に定められています。限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割~3割)の自己負担、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります。

 

また施設サービス自己負担の1ヵ月あたりの目安は、個室や多床室など、住環境によって変わります。厚生労働省によると、特別養護老人ホームで要介護5の人が多床室を利用した場合、合計金額は10万2,200円程度、ユニット型個室を利用した場合、13万9,500円としています。これはあくまでも老人ホーム入居の際の最低限の目安、と考えるべきでしょう。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給者のの平均受取額は月額5万6,358円、厚生年金受給者の平均受取額月額14万6,145円。前述の2,000万円のシミュレーションは、「高齢夫婦が30年間、健康で暮らしていくのに必要な額」であり、介護施設に入居することなど、想定外です。

 

もし、寿命が尽きるまで安心して暮らしたい、と考えるのであれば、老人ホームに入居する場合も想定したいもの。しかも、高齢化が進むなか、施設が足りず、入居待ちも珍しくありません。民間施設も視野に入れるのであれば、到底、2,000万円では足りないといえそうです。