将来の先行き不透明感から、多くの人が将来を見据えて投資を行っています。しかし、どれだけの人がきちんと投資リスクを理解して資産運用をしているでしょうか。「銀行に勧められて」と、他力本願で進めた資産運用のその先には……みていきましょう。
銀行員「この投資信託、お勧めですよ」を信じる日本人の残念な結末

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資産運用…「元本割れの経験者」37.9%

——老後、安心して暮らすには年金だけでは足りないから、自助努力をしましょう

 

そう大々的に国民に呼びかけているからでしょう、資産形成への関心は日に日に高まっています。

 

金融広報中央委員会『令和3年家計の金融行動に関する世論調査』によると、金融資産の保有率は78.0%。約8割の人が、将来を見据えてかは別として、資産運用をしています。その保有額の平均値は2,024万円、中央値は800万円。手取り収入から平均11%を貯蓄にまわしていました。

 

また金融資産のポートフォリオをみていくと、最も多いのが「預貯金」。「株式」「生命保険」「投資信託」「個人年金保険」が平均値で100万円を超えています。

 

【種類別金融商品保有額(金融資産保有世帯)】

  • 将来を見据えての預貯金:867万円
  • 株式:384 万円
  • 生命保険:250 万円
  • 投資信託:181 万円
  • 個人年金保険:109 万円
  • 債券:91 万円
  • 損害保険:42 万円
  • 財形貯蓄:38 万円
  • 金銭信託:21万円
  • その他記入商品商品:42 万円

 

出所:金融広報中央委員会『令和3年家計の金融行動に関する世論調査』より

※各商品の平均値であり、その合計値は金融資産平均保有額と一致しない

 

このような金融商品、どのような基準で選んでいるか尋ねたところ、最も多い回答が「収益性」で34.9%、続いて「安定性」が29.2%、「流動性」が21.0%と続き、商品の分かりやすさ(商品内容が理解しやすいから)」が4.1%となっています。

 

そんな資産運用、「1年前と比較して増えた」という人は37.5%、「減った」という人は21.3%。コロナ禍という難しい局面のなか、5人に1人は資産を減らしました。

 

また資産運用において「元本割れ」を経験した人の割合は37.9%。そのことに対して、おおよそ8%、12人に1人が「金融機関が悪い」としています。

 

【元本割れの経験の受け止め方】

  • 自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない:73.8%
  • 自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない:17.7%
  • 相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ:4.5%
  • 著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ:4.1%