晩婚化、それに伴い、第1子誕生年齢の上昇により、日本では住宅の取得年齢が上昇し、ローンの負担率もまた、年々大きくなっているといいます。その先に待つのは、ローン破産の急増……。住宅ローン利用者の現状と、その将来についてみていきます。
住宅ローン返済「月13万円」だと…日本の平均的サラリーマン「60歳で破産確実」の衝撃

定年後に給与3割減…ローン返済に耐えられるか?

返済負担率は、多くの金融機関で年収400万円未満は30%まで、400万円以上35%が限度といわれています。

 

日本人のザ・平均、年収433万円で考えてみると、返済負担率20%だとしたら、1年で86.6万円、月換算7万円強の返済。上限ギリギリ、負担率35%だとしたら、1年で151.55万円、月換算13万円ほどの返済。その差、1年で65万円、月に5万強の差にもなります。

 

現役時代は、その差も許容できたかもしれません。問題は定年後。仮に43歳で借入をしたとしたら、60歳の定年時は、まだまだローンの折り返し地点。昨今は再雇用などで65歳から70歳くらいまで働ける環境は珍しくないので、可能な限り働き続ける選択をしたとしましょう。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、50代後半の男性会社員の平均給与は666万円。それが60代前半になると、477万円。およそ3割ほどダウンしています。

 

これを先ほどの日本人のザ・平均に当てはめると、年収は300万円に、しかし返済額は変わらず151万円だとすると……返済負担率は50%を超え、破産することは目に見えています。

 

晩婚化に伴い、住宅取得年齢は上昇傾向にあります。必然的にローン完済年齢も上昇傾向にあり、定年後も払い続けるのが当たり前になっています。後期高齢者となる75歳になっても残債に追われているケースも珍しくありません。

 

実際には借入当初から徐々に給与はあがり、50代前半から後半でピークを迎え、定年を機に給与は急減するので、前述の例は極端なものです。しかし先々を見据えた返済プランでないと、定年後に苦しくなることは明らか。破綻という最悪の事態に陥らないためにも、綿密なシミュレーションが必要です。