2019年の「老後2,000万円問題」をきっかけに、多くの人が資産形成の重要性を認識しました。一方、特に若い世代では、日々の生活に追われて資産形成どころか貯蓄すらできていない人も少なくありません。さまざまな統計データを紐解きながら、20代会社員の「厳しすぎる懐事情」をみていきます。
平均手取り16万円だが…20代会社員の「厳しすぎる懐事情」

奨学金や車のローンも…20代の「厳しすぎる懐事情」

年収が低い分、なかなか貯蓄をふやすことができない20代……実際、どれほど貯めることができているのでしょうか。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年』によると、20代の平均金融資産保有額は212万円でした。

 

こうしてみると、貯蓄や投資などで着実に資産を蓄えているように感じます。しかし実際のところ、口座は保有しているが、現在残高はないと答えた割合が30.2%、金融資産自体を保有していないと答えた割合が37.1%と、金融資産保有額の平均値からは大幅にかい離しています。

 

この結果からわかるとおり、一部の層が大きく平均値を引き上げているだけで、その他大勢の層は家賃や日々の生活費に追われ、ほとんど資産形成できていないのが実情です。
 

さらに、20代には奨学金や車のローンによる「負債」が重くのしかかってきます。これにより、金融資産保有額から負債額を引いた平均純資産は、年齢別で唯一の赤字となっているのです。

 

【年齢別「純資産額」の推移】

 

「20歳代」-227万円

「30歳代」239万円

「40歳代」457万円

「50歳代」1,009万円

「60歳代」2,271万円

 

出所:金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年』より、各年齢平均値にて算出

 

年齢に応じて着実に昇給していく大企業に勤務する、一部の20代は将来への不安も大きくないでしょう。ただし、日本の99.7%は中小企業であり、日本人の平均給与は433万円(国税庁『令和2年民間給与実態統計調査』)、1990年代からほぼ横ばいです。

 

そのような状況下、日々の貯蓄だけで老後不安を解消することは難しいでしょう。

 

日本が元気だったころのように「中間層を復活させる」ことを目指している日本。しかし、国に期待して素直に待ち続けているだけでは悲惨な老後を送る可能性も少なくありません。将来の安心のためにも、若いうちからしっかりとしたマネープランが必須です。