オフィスビルや商業施設、ホテルなど、ありとあらゆる不動産の企画・開発を手掛ける不動産開発業者(デベロッパー)……業界全体として財務体質の健全性が懸念される一方、「不動産が売れさえすれば問題ない」といわれるほど、案件単位で莫大な利益が生まれる特殊なビジネスモデルであるこの業界。そのなかの大手6社に勤める人はどれほどの給与をもらっているのでしょうか。みていきます。
大手不動産デベロッパー6社の平均年収…財務はボロボロでも、スゴい給与額

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負債が前提…「デベロッパー」のビジネスモデル

2021年9月。中国の大手不動産デベロッパー恒大集団の経営危機が報じられました。

 

これは、2020年8月に中国で不動産デベロッパーの財務健全性を改善するために導入された「3つの財務指標」について、恒大集団が一定の基準(レッドライン)を満たさなかったことが問題の発端でした。

 

その3つの財務指標に対するレッドラインは以下のとおりです。

 

①総資産負債比率(総負債÷総資産)70%以下

②自己資本負債比率(総負債÷自己資本(純資産))100%以下

③現金に対する短期負債比率(短期負債÷現金・現金同等物)100%以下

 

これを国内デベロッパー大手6社に当てはめると、次のようになります。

 

■三井不動産

①…66%(〇)、②…191%(×)、③…533%(×)

 

■三菱地所

①…66%(〇)、②…195%(×)、③…384%(×)

 

■住友不動産

①…74%(×)、②…277%(×)、③…353%(×)

 

■東急不動産ホールディングス

①…77%(×)、②…336%(×)、③…211%(×)

 

■野村不動産ホールディングス

①…69%(〇)、②…228%(×)、③…381%(×)

 

■東京建物

①…74%(×)、②…286%(×)、③…244%(×)

 

出所:各社の有価証券報告書(2021年3月末時点※決算期の異なる東京建物のみ2021年12月末時点)

 

ちなみに、経営危機であった2020年12月末時点の恒大集団は、①が83%(×)、②が557%(×)、③が1,813%(×)と、いずれもレッドラインを大幅に超過していました。

 

ただし、上記のとおり、国内大手6社もけっして健全とはいえません。むしろ6社のうち半数は、恒大集団ほどではないにせよ3つ経済指標すべてでレッドラインを超過しています。

 

このように、財務面は経営危機を心配するレベルでボロボロな6社……しかし、これらの企業に勤める人は、誰もが羨むような驚きの給与をもらっていたのです。