オフィスビルや商業施設、ホテルなど、ありとあらゆる不動産の企画・開発を手掛ける不動産開発業者(デベロッパー)……業界全体として財務体質の健全性が懸念される一方、「不動産が売れさえすれば問題ない」といわれるほど、案件単位で莫大な利益が生まれる特殊なビジネスモデルであるこの業界。そのなかの大手6社に勤める人はどれほどの給与をもらっているのでしょうか。みていきます。
大手不動産デベロッパー6社の平均年収…財務はボロボロでも、スゴい給与額

羨ましい…国内デベロッパー大手6社の平均給与額

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、電気業の推定年収は、平均595万8,100円。従業員規模別にみていくと、「従業員10~99人」企業で517万0,100円、「従業員100~999人」企業で566万8,800円、「従業員1,000人以上」企業で678万9,700円。

 

同調査によると、全産業平均が487万3,000円なので、ほかの業界同様、企業規模による給与差はあるものの、「不動産業」は高給与の業界だといえるでしょう。

 

さらに有価証券報告書から、前述のデベロッパー大手6社の給与事情をみていきます。「東急不動産ホールディングス」と「野村不動産ホールディングス」は事業持ち株会社なので参考値とはいえ、なんと6社中5社が平均年収1,000万円超え。最も高いのが「三井不動産」で1,273万7,000円でした。

 

■三井不動産

1,273万7,000円

(従業員数:1,776人、平均年齢:40.8歳、平均勤続年数:11.0年)

 

■三菱地所

1,267万5,663円

(従業員数:953人、平均年齢:40.8歳、平均勤続年数:15.3年)

 

■住友不動産

669万0,574円

(従業員数:5,877人、平均年齢:43.2歳、平均勤続年数:8.0年)

 

■東急不動産ホールディングス

1,071万0,000円

(従業員数:74人、平均年齢:42.5歳、平均勤続年数:15.7年)

 

■野村不動産ホールディングス

1,011万6,985円

(従業員数:261人、平均年齢:43.1歳、平均勤続年数:15.4年)

 

■東京建物

1,008万9,000円

(従業員数:725人、平均年齢:42.3歳、平均勤続年数:11.8年)

 

出所:各社の有価証券報告書(2021年3月末時点※決算期の異なる東京建物のみ2021年12月末時点)

 

なお、住友不動産が他の5社と比べて給与が低い理由として、事業内容により子会社を設立している他社に対し、住友不動産は自身が幅広い事業内容を直接手がけていることによるものと考えられます。職種や雇用形態に幅があり、その分ことなる賃金体系の社員を抱えていることで、平均年収が他社に比べ低くなっているようです。もっとも、営業職・技術職の正社員は他社総合デベロッパーとほぼ同じ年収額とみられています。

 

財務の健全性が懸念される国内デベロッパー大手6社。しかし、ふたを開けてみるといずれの企業も非常に高額な給与をもらっていることが明らかになりました。

 

リモートワークの普及により戻らないオフィス空室率。また、世界的なインフレが進むなか、金利の上昇も懸念されるなど不動産開発業には逆風の環境となりつつある現在。各社の今後が注目されます。