もしフルローンでマイホームを買ったなら…
住宅購入において、フルローンを利用するメリットは大きく3つ。
まず「タイミング」。前述のように、欲しいと思ったタイミングで住宅を購入することができます。
2つめは「手元に資金が残る」こと。頭金を払ったことで貯蓄が心許なくなった……そんなことを防ぐことができます。
3つめは「住宅ローン控除の恩恵が大きくなる」こと。条件を満たしたうえで年末ローン残高の1%(上限40万円)を所得税や住民税から控除できる制度で、頭金をなしとし住宅ローンの借入額を増やせば控除額も増やすことができます。
デメリットとしては、なんといっても返済額が増えること。実際に前出の国土交通省の平均値を例に考えてみましょう。
たとえば新築一戸建てを建てたとして、物件価格4,606万円に対して、3,409万円をローン利用した場合と、全額ローンを利用した場合を考えてみます。便宜上、金利等も同条件としています。
物件価格:4,606万円
借入金額:3,409万円、4,606万円
返済方式:元利均等
金利:当初5年0.6%、以降1%と仮定
返済期間:30年
まず一部ローン利用の場合、利息分の支払いは471万0,416円。当初5年の月々の返済額は103,496円、以降は10万8,635円となります。
そして全額ローンの場合、利息分の支払いは636万4,423円。当初5年の月々の返済額は13万9,836円、以降は14万6,781円となります。
全額ローンを利用した場合、利息で165万円ほどの差、月々の返済額では3〜4万円の差となりました。
月々3万~4万円ほどの差であれば、許容範囲という人も多いかもしれません。しかし試算では、ローンの返済が30年続きます。40代でローンを組んだのであれば、完済は70代。現役時代は許容できた返済額が、年金生活になってからは重くのしかかります。「60歳定年後も再雇用で働き続ける」というよくあるパターンだとしても、大きく収入を減らすことは確実ですから、やはりローン返済は大変でしょう。思い描いた幸せなマイホーム生活が、一気に破綻へと向かうのです。
住宅ローンが払えなくなりローン破産に陥る人のパターンとして、フルローンでマイホームを購入していた、というのはお決まりのパターン。やはり可能な限り月々の返済額は小さくすることがマイホーム購入の鉄則です。