退職金=老後資金…減っていくのを見るだけは不安…
日本のサラリーマンの退職金。勤務先の規模にとって、大きな格差が生じています。「羨ましいのであれば大企業で働けるよう頑張ればいい」と正論を言われてしまいそうですが、会社員人生、最後の最後で1,000万円以上の格差に、嫉妬を覚えてしまうのは、仕方がないことかもしれません。
何はともあれ、退職金は老後のための重要な資金源。昨今は、婚姻年齢、第一子誕生年齢が上昇し、定年を間近に控えながらも、まだローンの支払いに追われているケースが増加しています。50代を迎えても、老後を見据えた貯蓄が思うように進まないケースも珍しくありません。そんな人たちにとって、退職金は一発逆転を狙えるものだといえるでしょう。
老後を見据えていくら必要かの論争は、結局、答えが出ていませんが、金融広報中央委員会『令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』によると、60代の金融資産保有額は平均3,014万円、70代で平均2,720万円。そのうち「預貯金」は60代で41%、70代で43%と、意外にも半分以下でした。
◆60代の平均的なポートフォリオ
預貯金:41.1%(うち定期:22.0%)、株式:18.1%、、生命保険:11.4%、投資信託:10.1%、債券:6.8%、個人年金保険:5.9%、その他:6.7%
◆70代の平均的なポートフォリオ
預貯金:43.4%(うち定期:26.9%)、株式:22.3%、、生命保険:13.5%、投資信託:8.3%、債券:4.3%、個人年金保険:3.2%、その他:5.1%
出所:金融広報中央委員会『令和3年(2021年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』より
この結果も合わせて考えると、退職金を手にしたからといって、それで悠々自適に暮らしていくかといえばそうではなく、年金生活に突入しても資産形成は続けていかなければならない、といえそう。
確かに、年金を手にし、足りない分は貯蓄から取り崩す……目減りする一方の資産を目の当たりにすると、不安ばかりが大きくなりそうです。それであれば、少しでも資産が増えるようにと、投資商品を保有し続けるのも納得がいきます。
しかし投資である以上、リスクはつきもの。同調査によると、金融資産残高が1年前よりも増えたのは26.7%、減ったのは26.1%。おおよそ、4人に1人が資産を減らしています。資産が減った理由で最も多いのが、「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」で51%。続くのが「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」で24.0%でした。単純計算、8人に1人は投資によって老後資金を減らした、ということになります。
2022年1月4日、2万9,301円でスタートした日経平均株価は、ロシア・ウクライナ侵攻もあり下降トレンド。4月11日時点で2万6,821円でした。それにより、さらに老後資金を減らした人も多いでしょう。4月から年金受給額も減り、さらに老後不安が広がっています。せめて株価上昇で、明るい話題を耳にしたいものです。