定年年齢の引き上げにより、70代でも働き続ける人も珍しくなくなっている昨今。さらに役職定年を撤廃し、モチベーションの維持を図る企業も増えてきました。そのような流れを苦々しく思っている、若手社員の姿も。みていきましょう。
役職定年廃止!歓喜するベテラン社員に「早く辞めろ」と若手社員の大合唱

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60歳を機に年収3割減…会社員の現状

大和ハウス工業は4月から60歳役職定年を廃止します。定年自体は65歳ですが、役職定年による年収低下、それによるモチベーション低下を問題視。定年まで年収が下がることのない環境を作り出し、解消しようとする取り組みです。

 

現在、多くの企業は、2013年に改定となった「高年齢者雇用安定法」によって、定年を65歳へ引きあげているところ。2025年4月には、定年制を採用しているすべての企業は、65歳を定年にしなければなりません。

 

65歳定年引き上げへの状況をまとめた、厚生労働省『高齢者の雇用状況』(2021年)によると、「65歳までの雇用確保措置のある」とした企業は99.0%で、「定年=65歳」の企業は18.4%。「従業員31~300人企業」では19.2%、「従業員300人以上企業」で11.9%と、中小企業のほうが定年65歳への対応は進んでいます。

 

また昨年改正となった「高年齢者雇用安定法」では、「70歳までの定年引上げ」「70歳までの継続雇用制度」を努力義務としています。前出の調査で66歳以上でも働ける制度のある企業は33.4%、70歳以上でも働けるとしたのは31.5%。今後、多くの企業で「定年=70歳」となるでしょう。

 

より長く働き続けられる環境づくりは、高齢化の進展とともに整えられてきましたが、問題だったのが、途中、訪れる収入減でした。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』で年齢ごとの給与をみていくと、たとえば男性大卒会社員の平均給与は637万9,300円。年齢があがるごとに年収はあがっていき、50代前半で869万0,100円とピークに達し、50代後半でも800万円台をキープします。

 

しかし60代になると、800万円台だった年収は500万円台と、約3割ダウンします。ここには役職定年や、60歳で定年退職となり、その後再雇用となるなどの変化によるもの。すべての企業がそうというわけではありませんが、それまでキャリアを積み上げてきたものが、60歳を機に「一旦は修了」となる現状に、モチベーションを保ち続けるのは難しいでしょう。

 

【「男性大卒会社員」の推定年収の推移】

20~24歳:3,340,700円

25~29歳:4,404,900円

30~34歳:5,234,900円

35~39歳:6,103,500円

40~44歳:6,876,100円

45~49歳:7,586,400円

50~54歳:8,690,100円

55~59歳:8,356,100円

60~64歳:5,692,200円

65~69歳:4,905,100円

70歳:4,838,300円

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』