定年はいつですか? 多くの人が「60歳だけど、65歳まで今の会社で働ける」というでしょう。では定年はさておき「何歳まで」働きたいでしょうか? 高齢者の定年について、みていきます。
65歳・定年退職が「勝ち組」と呼ばれる、日本の高齢者の悲惨

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働けるうちはいつまでも…仕事意欲の高い、日本の高齢者

現在、2013年に改定となった「高年齢者雇用安定法」によって、定年が65歳へ引き上げられる経過処置期間中で、2025年4月からは、定年制を採用しているすべての企業は65歳定年制が義務になります。

 

65歳定年引き上げへの状況をまとめた、厚生労働省『高齢者の雇用状況』(2021年)では、従業員31人以上の企業16万4,151社の定年制の現況をまとめています。それによると「65歳までの雇用確保措置のある」とした企業は99.0%。また「定年そのものを65歳」としている企業は18.4%。従業員31~300人中小企業で19.2%、従業員300人以上の大企業で11.9%と、中小企業のほうが定年65歳への対応は進んでいる状況です。

 

さらに定年制、そのものを廃止してしまった企業は、2.7%。中小企業で3.0%、大企業で0.6%ありました。

 

また2021年4月1日に施行された改正「高年齢者雇用安定法」では、「70歳までの定年引上げ」「70歳までの継続雇用制度」などを努力義務になりました。65歳定年制への経過処置期間ではありますが、すでに定年70歳へと向かって動き出しています。

 

前出の調査で66歳以上でも働ける制度のある企業は33.4%。中小企業では34.0%、大企業では28.2%、さらに70歳以上でも働けるとしたのは31.5%で、中小企業では32.1%、大企業では26.1%となっています。

 

定年制については中小企業のほうが制度整備が進んでいる感がありますが、中小企業のほうが人材確保が困難であり、安心して働き続けられる制度により、囲い込みを行おうとする思惑が見え隠れします。

 

また「歳を重ねても働きたい」という人は多く、定年年齢の引き上げは、そのような人たちの思いとも合致しています。内閣府が行った『令和元年度高齢者の経済生活に関する調査』で「何歳まで収入を伴う仕事がしたいか」をたずねたところ、「65歳まで」が25.6%と最も多い一方で、「70歳くらいまで」が21.7%、「75歳くらいまで」が11.9%と続きます。さらに「働けるうちはいつまでも」と意欲がある人が20.6%と、仕事に対して前のめりな高齢者の姿がみえてきました。