厚生労働省の調査では、元会社員だった人の平均年金額は14万円。しかし、そのすべてが生活費として使えるかといえば、そうではありません。年金から引かれる税金や保険についてみていきましょう。
夫婦で20万円だが…税金や保険料が引かれて残る「ほんとの年金額」

年金生活者でも毎月「社会保険料」が引かれることを忘れてはならない

実際計算してみると、完全年金生活では、所得税や住民税はかからないかも……一方で、年金から必ず引かれるのは「社会保険料」です。

 

まずは「公的医療保険」。75歳未満であれば「国民健康保険」、75歳以上であれば「後期高齢者医療保険」に加入し、保険料を払います。40歳から加入する「介護保険」は退職後は全額自己負担となります。

 

国民健康保険は住んでいる市区町村によって保険料は異なります。たとえば東京都渋谷区であれば、以下の通り。

 

■世帯全員が住民税非課税の場合

課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円超120万円以下

 →年間保険料:18,700円

課税年金収入額と合計所得金額の合計が120万円超

 →年間保険料:33,700円

 

■本人が住民税非課税で世帯に住民税課税者がいる

課税年金収入額(注2)と合計所得金額の合計が80万円以下

 →年間保険料:50,100円

課税年金収入額(注2)と合計所得金額の合計が80万円超

 →年間保険料:57,200円

 

■本人が住民税課税

合計所得金額が125万円未満

 →72,200円

合計所得金額125万円以上250万円未満

 →85,800円

合計所得金額が250万円以上375万円未満

 →103,700円

 

出所:渋谷区ホームページより一部抜粋

 

年金生活者にもかかる、税金や保険料。実際の高齢者は、いくら払っているのでしょうか。総務省『家計調査』(2021年)によると、「65歳以上夫婦一組(無職世帯)」では、実収入」23万6,576円に対し、「公的年金」は21万5,603円。それに対し、税金として1万2,109円。所得税は39円、住民税は3,262円ほどかかっています。また社会保険料として、1万8,442円。そのうち健康保険に1万0,240円、介護保険に7,968円を払っています。

 

【65歳1組夫婦の1ヵ月の収支】

■実収入:236,576円

→うち公的年金給付:215,603円

■非消費支出:30,664円

→うち直接税:12,1092円

→うち社会保険料:18,529円

 

出所:総務省『家計調査』(2021年)

 

夫婦で年金20万円少々だとしても、税金や保険料で3万円ほど天引きされることは覚悟しておいたほうがよさそうです。