糖尿病・糖尿病予備軍に迫る「恐ろしい合併症」…回避のための「早期治療」

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糖尿病・糖尿病予備軍に迫る「恐ろしい合併症」…回避のための「早期治療」
(※写真はイメージです/PIXTA)

糖尿病の怖さは「合併症」にあります。目や神経、腎臓へ障害をおよぼすほか、心筋梗塞や脳卒中の高いリスクもあるのです。糖尿病、もしくは糖尿病予備軍と診断されたら、「早めの治療」が非常に重要です。3つの研究結果とともに、その重要性をみていきましょう。浅草寺病院の津戸弘樹医師が解説します。

糖尿病は「治す」ことも可能

もう一例お話ししてみましょう。これまで一般的に、糖尿病は1回なってしまえば治すことは難しいと思われてきました。しかし最近の研究で、糖尿病になっても早いうちであれば、本腰を入れた食事療法と運動療法で治すことができるという報告がありました。カタールで2017~2018年に行われた「強化食事療法と運動療法による糖尿病の治療効果(DIADEM-I)※4※5」の研究です。

 

この研究では、糖尿病と診断されたばかり(3年以内)の70人に食事のカロリー制限と運動(150分以上/週の速歩きや自転車等の中強度運動)を実施させました。

 

すると、15ヵ月後には研究参加者は平均で約12kgの減量を達成し、43人(61%)の人のHbA1c(糖尿病の指標となる血液検査項目)は糖尿病の境界値である6.5%を切ったのです。

 

さらにはなんと23人(33%)はもともと糖尿病であったのが、糖尿病予備群の診断値をも超えて改善し、正常血糖値となったのです。

 

繰り返しになりますが、糖尿病は恐い合併症をもたらす病気です。しかし上記のように最近の研究では、早期の治療で重症になることを防げること、正常血糖値に戻せることが明らかになっています。健康診断で血糖値の異常を指摘されたら、先延ばしにせず、“すぐ”に対策を講じることが重要です。

 

 

津戸 弘樹

総合内科医師

浅草寺病院

 

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【参考文献】

※1 Impaired Glucose Tolerance Is a Risk Factor for Cardiovascular Disease, but Not Impaired Fasting Glucose (Diabetes Care, Volume 22, Number 6, June 1999)

※2 Reduction in the Incidence of Type 2 Diabetes with Lifestyle Intervention or Metformin( N Engl J Med. 2002 February 7;346(6):393-403)

※3 10-Year Follow-up of Intensive Glucose Control in Type 2 Diabetes (N Engl J Med. 2008 October 9;359;15:1577-1589)

※4 Effects of intensive lifestyle intervention on bodyweight and glycaemia in early type 2 diabetes (DIADEM-I) (The Lancet Diabetes & Endocrinology Volume 8, Issue 6, P477-489, June 01, 2020)

※5 Clinical and metabolic characteristics of the Diabetes Intervention Accentuating Diet and Enhancing Metabolism (DIADEM-I) randomised clinical trial cohort (Zaghloul H, et al. BMJ Open 2020;10:e041386. doi:10.1136)

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。