新型コロナワクチン、「小児」は接種したほうがいい?【小児科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスが流行し始めた当初、小児の感染率は低く、もし感染しても重症化の恐れはないという見方が一般的でした。しかしオミクロン株の登場により、小児の感染者数が増えています。また、2歳未満の子や基礎疾患のある小児の場合は、重症化リスクが増大するという報告も…。小児へ新型コロナワクチン接種は、どのように考えればよいのでしょうか? 小児科医であり、帝京大学大学院公衆衛生学研究科教授の高橋謙造氏が解説します。

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「基礎疾患のない小児」でもワクチン接種するべき?

新型コロナ感染症に関して、2020年3月26日の段階で、5歳から11歳の年齢での新型コロナワクチンの接種があちこちの自治体で始まっています。

 

さて、このワクチンは受けたほうがいいのでしょうか?

 

基礎疾患(気管支喘息、心疾患、腎疾患、神経疾患、糖尿病等)を持つ児や海外に長期に滞在する予定のある児に対しては、日本小児科学会でも接種が推奨されています。しかし、そういった基礎疾患を持たないお子さんに対してはどう考えればいいでしょうか? 考えるための、しっかりとした知見に基づいたヒントをお伝えします。

 

ここでお伝えするのは、現在、小児接種に用いられているファイザーワクチンに限定しての情報です。

コロナワクチン接種、「小児への効果」は?

接種後7日目以降のCOVID-19の感染者でみると、2回接種後の有効率は90.7%であったとの報告があります。

 

これは、ワクチンの承認前にファイザー社が行った調査です。ワクチンメーカーが行った調査であるからお手盛りではないか?と疑われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このデータは、「ニューイングランド医学誌」という最も権威のある医学誌に掲載されました。この医学雑誌は、審査が厳しいことでも有名です。この厳しい審査を通過したので、信用してもよさそうです。

 

しかし、一方で、全米10州で行った調査で見るとどうでしょう。この研究は、「罹患率死亡率週報」という米国CDC(米国疾病管理センター)が発行する週報に掲載されました。

 

この調査では、ワクチン2回目接種後14-67日で評価していますが、感染予防効果は46%と減少してしまっています。

 

つまり、怖い思いをさせて2回接種させても、感染してしまう可能性が出てくるのです。

 

ただし、この調査にはもう一つの重要なデータがあり、入院予防効果は74%とのことです。

 

米国においては医療制度も異なりますので、重症化しないと入院はしません。つまり、重症化予防効果が十分にあるということなのです。

 

また、2022年3月30日に「ニューイングランド医学誌」に出たばかりの米国23州の調査でも、入院予防効果は68%と高いものでした。この調査は、オミクロン株流行期での結果なので、まさに今の日本に当てはめることができます。

 

まとめると、感染予防効果は弱いが、重症化の予防はある程度期待できるワクチンと言えそうです。

副反応は?「発熱、接種部位の痛み」は見られるが…

次に気になるのが、副作用です。

 

いくら効果の高いワクチンであっても、副作用頻度が高いのは受ける気になりませんよね。

 

この情報も、「ニューイングランド医学誌」のファイザー論文に掲載されていますが、発熱、接種局所の痛みなどはより上の年齢層と同様で、一定頻度生ずるようです(発熱:8.3%、注射部位の痛み:71〜74%など)。しかし、大切なのは、心筋炎、心膜炎、アナフィラキシーなどの重篤な副作用がまったく報告されなかったことです。

「コロナ後遺症」を発症しにくくなるというメリットも

COVID-19による長期的後遺症としてLong COVIDという症状があり、新聞報道等でも少しずつ報道されるようになって来ました。これは、倦怠感、呼吸苦、咳嗽、味覚・嗅覚障害、集中力低下等の症状が月単位で持続するものです。この長期後遺症の全体像はまだ明らかになっていませんが、デンマークの調査では、15−18歳の小児感染者のうち、2ヵ月以上Long COVIDの症状が見られる確率が高く、16日以上も学校を欠席してしまう確率も高い、との報告もあります。この長期的後遺症を考えると、できれば感染したくないと考える方も多いかもしれません。

 

ところが、この長期的後遺症に関して、有益な報告が今年2月に発表されました。英国の健康安全保障局(UK Health Security Agency)の文献調査の結果によれば、ワクチン2回接種者は、感染してもLong COVIDを発症しにくい(約半数に減少する)との結果が出ているということなのです。この結果は、必ずしも小児が対象の結果ではない点には注意を要しなければなりませんが、同様の効果は十分に期待できる可能性があります。この情報も、最終的に接種を判断する材料の一つになるでしょう。

 

そもそも、COVID-19という感染症自体が世界に拡大し始めて、まだ2年半も経過していません。さらに、世界で最初に5-11歳の年齢層に接種をした米国でさえも2021年11月初旬からの接種開始であり、まだまだ情報は十分には揃っていないのです。今後、イスラエル、カナダなどしっかりとしたワクチン体制を敷いている国々から知見が出てくるかもしれませが、2022年4月3日の段階ではまだです。そのような中、子どもを守ろうとしたら、信頼しうる情報を元に判断するしかありません。

 

ちなみに、私はこれらの情報を収集した上で、自分の子どもには接種しました。重篤な副作用がなく、重症化の予防効果が期待できるワクチンであれば、発熱や接種部位の痛みなど軽いものだと判断したからです。

 

迷っているママ・パパたちの参考になれば幸いです。

 

 

高橋 謙造

帝京大学大学院公衆衛生学研究科 教授

 

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帝京大学大学院公衆衛生学研究科 教授 

東京大学医学部医学科卒(1994年)。専門は、国際地域保健、国際母子保健、感染症学。

医学生時代に、タイの地域保健住民ボランティアシステムに感銘して国際保健、公衆衛生を志し、恩師のアドバイスにより小児科医師となる。離島医療(鹿児島県徳之島)、都市型の小児救急等を経験したあと、麻疹の大流行を経験して博士号取得に結びつける。順天堂大学、厚労省国際課、国立国際医療研究センター、横浜市立大学等を経て、2014年4月より現職。現場をみて考える、子どもをみて考える、がモットー。

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載現役医師が解説!様々な「カラダの不調」への対処法

※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。

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