年金の不正受給……たびたび話題になるニュースには、高齢化問題、ひきこもりの問題、就職難世代の問題など、日本が抱えるさまざまな問題が複雑に絡み合っていました。みていきましょう。
どう生きていけばいいか、分からない…40代氷河期世代、もうすぐ直面する「親子共倒れ」の悲劇

50代よりも悲惨…就職できなかった40代は「8050問題」予備軍

現在、50代の人は1963〜1972年に生まれた人たち。受験戦争は熾烈を極め、「浪人して大学に進学」というのが、今よりも当たり前だった時代です。50代後半の人たちは大卒であればちょうど大学新卒でバブルを味わい、良い思いをしたでしょう。50代前半の人たちは、大学新卒でバブル崩壊を経験しています。日本経済は急激に悪化していきますが、そのなかでも、「いずれ景気は良くなる」と希望を持てていた時代です。

 

そのような時代に生きた50代のなかに、社会から脱落し、親の年金に頼らざるを得ない人たちが多くいる、というわけです。

 

さらに深刻なのは、その下の40代。この世代は就職が特に厳しかった、就職氷河期世代にあたります。有効求人倍率が1.0を下回り、正社員での就職が叶わない人が大勢いました。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、「男性大卒正社員」の平均年収は654万4,000円。そのピークは50代前半で850万7,000円に達します。一方、「男性大卒非正社員」の平均年収は409万3,800円。同じ大卒でも、非正社員50代の収入は、正社員の半分にも満たない水準です。

 

あくまでもこれは平均値。非正社員でも一部にはスキルを活かし、契約形態にこだわることなく高収入を得ている人も。このような一部の人たちが平均額をあげていることを考えると、就職難に見舞われた40代非正社員の現実は、かなり厳しいと考えられます。

 

またSMBCコンシューマーファイナンス『20代の金銭感覚についての意識調査2022』によると、「年収400万円超」で36.3%、「年収500万円超え」で51.9%、「年収600万円超」62.5%が「結婚を考えられる」と回答しました。つまり40代氷河期世代のなかには、経済的な理由から結婚が叶わず、「親子で実家暮らし」も多いと考えられます。そして低収入から親の年金を頼りにしているケースもあるでしょう。40代氷河期世代は、近いうちに「8050問題」に直面する予備軍だといえるのです。

 

就職難を機に、正社員になれなかった人や、ひきこもりになってしまった人が多い氷河期世代。いまのところ就労支援がメインではありますが、事情は家庭によって違うもの。まずは気軽に相談できる体制、仕組みがづくりが求められています。