【関連記事】平均給与389万円…「そんな年収で結婚できない!」20代会社員の悲痛
80代の高齢の親を介護する、50代無職の子供という組み合わせ
――亡くなった家族の遺体を放置。死亡届を出さず、年金を不正受給
たびたび問題になる、このようなニュース。そのなかで述べられる理由は、「貧しくて……」「どうしたらいいかわからなくて……」というもの。もともと年金の不正受給を狙ったものもあれば、社会から孤立してしまい助けを求める術がなかった、知らなかったなど、背景はさまざまです。
最初から年金の不正受給を狙う場合も、悪意のあるケースと仕方がなくというケースがあるでしょう。
厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金の平均年金受給額は月額5万6,358円、厚生年金の平均年金受給額は月額14万6,145円。これらのお金をどうして不正にもらい続けようとしているのか。その背景には「8050問題」があります。
「8050問題」。耳にした人もいるでしょうが、80代の親が自宅にひきこもる50代のこどもの生活を支えているという状態のこと。支援が行き届かないまま、親が要介護状態になったり、死亡したり……最悪の場合、子どもも共倒れ、死亡に至るケースも。子どもは収入を得る手立てがありませんから、死亡した親の年金でなんとか暮らそうとする。このようなケースが後を絶ちません。
内閣府の調査によると、40~64歳の「ひきこもり中高年者」は全国で60万人を超えるといわれています。世間体を気にして報告しないケースも考慮すると、その数はさらに多いでしょう。
なぜひきこもりになったのか。以前は「不登校」や「職場になじめなかった」などの理由が多かったといいますが、近年は「退職」「人間関係」「病気」などの理由が増えています。さらにコロナ禍により、社会からの孤立化は加速。今後、「8050」問題はさらに深刻化するといわれています。