日本の平均寿命は、世界でもトップクラスの長さを誇ります。日本人の寿命はさらに延び、「人生100年時代」に突入すると言われています。もし本当に100歳まで生きるとしたら、老後の資金は足りるのでしょうか。リズム株式会社の資産コンサルタント、山崎博久氏が解説します。
平均年金22万円…100歳まで生きるなら、貯蓄はいくら必要か?【シミュレーション】

安心して老後生活を送るために必要なお金は?

老後資金のことを考える際、それではいくらあれば安心できるのかというのは定番の疑問です。本当に安心して老後を迎えるには、いったいどれだけの老後資金があればよいのでしょうか。一般的なデータをもとに試算してみましょう。

 

ゆとりのある老後生活を送るには5,000万円以上必要

老後の生活費について、公益財団法人生命保険文化センターが月額の試算をしています。これによると最低日常生活費は夫婦2人で平均22万1,000円、ゆとりのある生活をしようと思うなら月額36万1,000円が必要になるとのことです。

 

それではこの月額36万円に、人生100年を達成した場合に生じる老後期間の35年を掛けてみましょう。

 

36万円×35年×12ヵ月=1億5,120万円

 

なんと1億円を超えてしまう老後資金になります。しかしここには公的年金が考慮されていないので、先ほどご紹介した平均受給額である22万円を差し引いてみましょう。

 

(36万円-22万円)×35年×12ヵ月=5,880万円

 

ゆとりのある老後を送るには、やはり5,000万円を超える老後資金が必要になるようです。数字だけを見ると絶望的な気分になってしまうかもしれませんが、どんな方であってもこの問題を克服することができます。以下にその方法を解説してききますので、ご安心ください。

 

貯蓄以外にも資産を増やすことは可能

不足する老後資金の対策方法として、1つ目は長く働くスキルを身につけることが挙げられます。定年退職は60歳といわれていますが、再雇用で65歳まで働くことが可能な企業も多く、シルバー人材センターに登録して働くことも可能です。また、スキルを磨いておけば老後であっても目に見える形で給料が変化するため、スキルを常に磨き続けることを意識するといいでしょう。

 

2つ目にできる対策は、現役時代に給与所得以外の収入源を作ることです。給与以外の収入といえば、副業や投資などの資産運用が挙げられます。FXや暗号資産投資で現在の余剰資金を増やす方法や、ライティング・WEBデザインなど自分の得意分野を生かした仕事をして収入源にすることも可能です。

 

3つ目は現役時代にキャッシュを生む資産を形成することです。貯蓄していくことも大切ですが、年金と貯蓄の取り崩しだけで老後の生活をまかなうことが厳しいのは、すでにお伝えしたとおりです。キャッシュを生む資産として株式に投資を行うことで配当や利益を得られますが、大手企業だからといってすべての銘柄が安心というわけではない為、見極めが重要です。

 

4つ目に考えられ対策は、現役時代に売却可能な資産を作ることです。資金を用意し、売買可能なものに変えることも検討するといいでしょう。

 

たとえば、マンションなどの不動産を所持していれば、家賃という安定的な収入が生まれます。特に、不労所得としての家賃収入は経年と共に低下するかもしれませんが、長期にわたる収入が期待できます。しかも、どうしてもお金が必要になったということであれば、売却してまとまった現金を手にすることもできます。