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まずは「市場再編」の概要を確認
東証には2022年2月現在、一部、二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダード・グロース)の市場区分があります。しかし、そこには2つの課題があると日本取引所グループはウェブサイトで発表しています。
要約するとその1つは、各市場区分のコンセプトが曖昧で、投資家にとっての利便性が低いことです。
そしてもう1つは、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けが不十分であることです。これは、新規上場基準よりも上場維持基準が低い、他の市場区分から一部に移る際の基準が新規での一部上場基準より低い、ということが原因になっています。つまり、その市場区分に相応しない会社が、その市場区分に存在し続けてしまうという現象が起きているのです。
これらを解決するため、2022年4月4日から東証は、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3区分に再編成されます。これは、それぞれの日本語訳「prime=主要な」「standard=標準」「growth=成長」を考えるとコンセプトがわかりやすいでしょう。
上場基準も、やはり各区分のコンセプトに沿ってわかりやすくなってることが見て取れます。ここでは割愛しますが、上述した日本取引所グループのウェブサイトでも確認してみましょう。
「市場再編」…個人投資家へのメリット・デメリット
ではそんな東証の市場再編は、個人投資家にどのような影響をもたらすでしょうか。
メリットとしては、その会社がどんな会社であるかがわかりやすくなる、ということが挙げられます。投資の際の利便性は、やはり高くなりそうです。
「日本を代表する企業をプライム市場から選ぶ」「リスクは高いかもしれないが成長株に賭けたいからグロース市場から選ぶ」などの選択が可能になります。また、各市場区分ごとのインデックスファンドも現れ、それに投資することも可能になるのではないでしょうか。
ただしその反面のデメリットとして、各市場区分のイメージに左右されてしまい、「各会社を色眼鏡で見てしまって判断が鈍る」、ということが起きるかもしれません。
たとえば、「将来的には縮小していくであろう会社なのに、プライム市場にあるので安心してしまう」「ビジネスモデルも会計上も成長性は乏しい会社なのに、グロース市場にあるので成長し続けると判断してしまう」などの判断ミスが考えられます。
今、ある会社がある市場区分に存在するからといって、それが永遠に続くとは限りません。企業の業績は変化するものであって、後に市場区分を移動する会社も、必ずあるのです。