負けている投資家ほど未来を予測し、優秀な投資家ほど予測の不確実性を考慮したうえで堅実な投資を行うと、株式会社ソーシャルインベストメント取締役CTOの川合一啓氏はいいます。みていきましょう。
某アナリストの「株価予想」は信じない…堅実に結果を残す投資家の思考法 ※画像はイメージです/PIXTA

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未来予測は本当に当たる?

インターネット上で、2020年12月の某アナリストによる「2021年末の日経平均株価は32,000円程度まで上昇する」という予想を見つけました。

 

「新型コロナワクチンが登場」「新型コロナへの家計・企業の対応強化で景気や業績への悪影響は限定的」「日米新政権の景気対策が景気をさらに好転させる」などの理由が述べられていました。

 

ところが、2021年大納会時点での日経平均株価は29,000円弱で、この予想を10%程度下回ったことになります。予想は当たり、とはいえないようです。

 

また、新型コロナウイルス騒動は結局いつ終わるのでしょうか? 各国政府は今後どのようなコロナ対策・景気対策をするのでしょうか? コロナ後の社会や経済はどの程度それまでと違ったものになるのでしょうか? GAFAの成長は今後何年続くのでしょうか?

 

以上の質問に、時期や金額などの数字も含めて100%の正解率で答えを出せる人はいるでしょうか? いいえ、いないでしょう。そしてそれは、このような社会経済一般に関してだけでなく、個別企業の業績や株価に関しても、同様です。

 

投資では確かに未来を予測する必要があります。しかし実は優秀な投資家ほど、その不確実性を考慮しているものです。まずはそれを、肝に銘じておくべきではないでしょうか。

優秀な投資家は予言ではなく「確率」を考える

20年間赤字がなく、減配せず配当を出し続けてきた会社があるとします。業界の動向も悪くなく、ビジネスモデルも優れていて、毎年一定のキャッシュを稼ぎ続けている実績があります。

 

さて、その会社が今期も黒字になり、減配せず前期と同等または前期より多くの配当を出す可能性は、どの程度あるでしょうか?

 

これは、きわめて高いのではないでしょうか。もちろん、100%そうだとはいえません。しかし、大雑把にでも「きわめて高い」、あえて数字にするなら「95%以上の確率がある」とはいえそうです。また、赤字になる確率は低く、大幅な減配をする確率はさらに低く、無配になる確率などゼロに近いともいえるのではないでしょうか。

 

前述のとおり、未来予測などは不確実なものです。しかしながら、確率の高低を考えることはできます。そしてそれを考えるほど、投資でもよい結果を得られるのではないでしょうか。

 

ちなみに数学の確率分野に、「期待値」と呼ばれる値があります。これは賭け事において、「平均的にどの程度のリターンが得られるか」を意味する値で、「リターンの大きさ×そのリターンが実現する確率」で計算できます。そして、期待値の高いことに大きく賭けるのが、賭け事に勝つコツなのです。

 

外れたら破滅するような賭けはしないなどの現実的な調整は必要ですが、投資にも十分応用できる考え方なので、覚えておくとよいでしょう。投資で勝つためには、予言をすることではなく、確率を考えることが重要なのです。