あなたは大丈夫? 睡眠時無呼吸症候群セルフチェック
睡眠時無呼吸症候群は自覚しづらい病気です。そのため、気づいたときにはかなり症状が進んでいたということも少なくありません。反対に、早いうちに気づけば治療の負担も軽くて済みます。
まずは、自分の睡眠の状態に気付くことが大切です。
次の8つの状況において、眠気の程度を「うとうとする可能性はほとんどない」から「うとうとする可能性が高い」までの4段階で回答してください。合計点数が11点以上の場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。
リスクに気づいたら、早めに専門外来を受診しましょう
リストで11点以上だった場合はもちろん、家族に「いびきがひどい」「睡眠中、呼吸が止まって苦しそう」などと一度でも指摘されたことがある人は、できるだけ早く呼吸器内科を受診しましょう。
近隣に呼吸器内科がない場合は、一部、耳鼻科や循環器科で扱っているところもありますし、最近では睡眠に特化したクリニックもありますから、それらを利用してもよいでしょう。
睡眠時無呼吸症候群かどうかは、簡易的な検査でスクリーニングすることができますが、より詳細に調べる場合には入院が必要です。
入院による検査では「ポリソムノグラフィー」というテストを実施して、睡眠中の脳波、眼球運動、胸郭運動、酸素飽和度、鼻の気流測定などを調べます。
治療の基本は「減量」と「CPAP」
検査により、睡眠時無呼吸症候群であると診断された場合には、すぐに治療をはじめます。
肥満の場合はまず、減量が必須です。痩せることで横たわったときに気道が広がり、呼吸が楽になるからです。
そのほか、「CPAP治療」といって、睡眠中に特別なマスクを装着する方法もあります。これは、圧力をかけた空気を鼻から送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。
睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことによって、日中の眠気が改善するだけでなく、高血圧や不整脈の治療効果も期待できます。特に心房細動と睡眠時無呼吸症候群を併発している患者の場合、CPAP治療を行うとほとんどのケースで心房細動の治療成績が上がり、また、再発を防げるということもわかっています。
睡眠時無呼吸症候群は珍しい病気ではなく、加齢とともに発症率が上昇することを考えれば、誰でもリスクを抱えている病気です。現在日本では、400万~500万人の患者がいると推定されていますが、治療中の人は約40万人程度と少ないため、「検査や治療を行っていない潜在患者は約30~40人に1人の割合で存在する」という報告もあります※5。
睡眠時無呼吸症候群は睡眠の質を下げるだけでなく、交通事故のリスクや命の危機など、さまざまな弊害をもたらします。ぜひ早期発見に努め、適切な治療を始めるようにしましょう。
[出典]
※1 一般社団法人日本呼吸器学会HP
(https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42)より
「1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であり、かつ上記の症状を伴う際にSASと診断します。」
※2 SAS対応マニュアル「睡眠時無呼吸症候群に注意しましょう!」国土交通省自動車交通局(https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha03/09/090318/090318.pdf)
※3 一般社団法人日本呼吸器学会HP
(https://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=42)より
「成人SASでは高血圧、脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなり、特に、AHI30以上の重症例では心血管系疾患発症の危険性が約5倍にもなります。」
※4 第59回日本心臓病学会学術集会シンポジウムより
(http://www.jcc.gr.jp/journal/backnumber/bk_jjc/pdf/J071-7.pdf)より
※5 一般社団法人日本職業・災害医学会会誌第66巻第1号
(http://www.jsomt.jp/journal/pdf/066010001.pdf)より
「SAS の患者数は,400~500万人と推定されているが,治療中の人は約40万人程度と少なく,多くの潜在的 SAS 患者が放置されているのが現状である」
桑原 大志
東京ハートリズムクリニック
院長
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