ガイドラインでは「かつら」についても言及
■かつら「推奨度:C1(行ってもよい)」
ガイドラインではかつらについても言及されています。これは薄毛を治す「治療」ではありませんが、社会的生活を送る上での対処法として医学的な調査が行われ、生活の質(QOL)や満足度を改善させる一定の効果を示しています。こちらもご自身の生活スタイルを考えたうえでの選択肢の1つと考えてください。
他にもいくつか「推奨度:C1(行ってもよい)」という治療はありますが、あくまで一定の安全性が確認されたうえで「行っても悪いことはないでしょう」という意味合いになります。
AGAに対して明確な効果が示されているわけでもないので、治療優先度は低いと考えてよいでしょう。
また、ガイドラインで触れられていない治療法・成分については医学的根拠となるような検証が行われておらず、少なくとも明確な効果は示されていないといえます。
前回のガイドライン作成から時間が経っていますが、現時点で特に新しい治療法の報告がないことも付け加えておきます。
治療方法を選ぶ際は「推奨度」と「優先度」を確認
ガイドラインで検証されている治療法ごとに「推奨度」と「治療優先度」について解説しましたが、長くなったのでまとめます。
【男性型脱毛症について】
- まず行うべき推奨度、優先度の高い治療はフィナステリド・ミノキシジル内服治療。
- 次に追加するならばミノキシジル外用剤治療。
- あとはご自身の希望に合わせて治療追加。
【女性の薄毛について】
- まずはミノキシジル外用剤治療。
- あとはご自身の希望に合わせて治療追加。
追加治療については、あくまで希望に応じて行うもので必須のものではありません。
そもそも、命にかかわらない薄毛治療が必須か否か、という話にもなるのですが、少なくとも薄毛治療は「ご自身の希望に合わせてご自身が選択するもの」と考えてください。
近頃はインターネットやテレビCMなどでも様々な「髪の毛治療」を見かけます。種類も値段も宣伝文句も千差万別で、迷ってしまうのも当然でしょう。そんなときこそ「ガイドラインの存在」「治療の推奨度、優先度」を知っているか知らないかで、治療選択による将来の結果も大きく左右されてしまいます。
医学的な根拠のない治療、検証が不十分な治療などに出費する際は十分に考えたうえで、正しい情報、間違った情報、を取捨選択するようにしてください。
栁澤 正之
東京メモリアルクリニック 院長
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