「家賃保証」にも関わらず家賃の引き下げを迫られる!?
地方の物件の仲介、あっせんに熱心な不動産業者の中には、家賃保証やサブリースなどを積極的に謳っているところがあります。
そのため、「賃料を保証してくれるのなら、少々賃貸ニーズが落ち込んでも問題ないのでは」と思う人がいるかもしれませんが、そのような業者の宣伝文句を額面通りに受け止めるのは危険です。
まず、家賃保証については、仮に保証期間を10年などと約束しながらも、契約書の中に、賃貸市場の動向などに応じて家賃を2年ごとに見直すことがある旨について定めた条項が、(簡単には気づかれないような形で)盛り込まれていることがあります。
このような条項がある場合、保証期間の半分も終わらないうちに、業者が、「この地域の家賃相場が契約時に比べて大きく下がっているので・・・」などとオーナーの立場を一切考えない勝手ないい分を並べ立て、当初、保証していた賃貸料の引き下げを一方的に求めてくる可能性がないとはいえません。
それを受け入れられないのであれば、おそらく賃料保証の契約は解除される、つまりは当初の約束が反古にされるはずです。
地方物件で「サブリース契約」を結ぶのはリスク大
また、サブリースの形をとった場合には、その契約期間が終わったあとの物件の管理について、十分考慮しておかなければなりません。
たとえば、普段の生活の本拠地は東京にあるのに、群馬県の前橋にサブリース契約を前提として一棟型マンションを購入したような場合、その契約期間の間は、業者がすべて管理・運営を行ってくれるので、オーナーが現地に足を運ぶ必要はありません。
しかし、契約が終わったあと、今度はオーナー自身で管理・運営を行わなければならないとなったら、東京から前橋まで手間暇かけて通わなければならなくなります。他に本業をもっているのであれば、まず間違いなく途中でいやになるはずです。
しかし、新たに別の業者にサブリースを依頼しようとしても、名古屋や大阪などのいわゆる五大都市ならともかく、十分な賃貸需要が見込めないような地方都市では、おそらく、引き受けてくれるところは少ないはずです。当初の業者がサブリースを引き受けてくれたのは、あくまでも物件を買わせるための方便であることを忘れてはいけません。
このように、地方に投資物件をもつことには、非常に大きなリスクが伴うのです。
金融機関もそうしたリスクを十分に認識しているため、今は地方物件への投資に対して積極的に融資を行っていても、ブームが過ぎ去れば、スタンスが一転する可能性が高いでしょう。
そうなれば、いざ物件を売却しようとしても、融資をしてくれる金融機関がないために、購入できる人はごくごく限られてくることになりますし、売れるとしても、安く買いたたかれることを覚悟しなければなりません。
このように、地方で収益物件を運用する投資スタイルには、出口戦略の観点からは重大な問題が潜んでいることを十分に承知しておく必要があるでしょう。