他人と比べてもよくない、と分かっていてもつい比べてしまう給与。先日、発表された「バンダイナムコエンターテインメント」の基本給引き上げのニュースに、ある意味ショックを受けた人も多いことでしょう。日本人の給与と将来について考えていきます。
バンダイナムコ「基本給5万円引き上げ」…手取り20万円の「ちょうど真ん中の日本人」から羨望の眼差し

世論調査…「明るい未来」を想像すらできなくなった日本人

内閣府が昨年行った『国民生活に関する世論調査』において、現在の生活に対しての満足度は「満足」が55.3%、「不満が」44.3%で、若干ですが満足している人が上回っています。ただ所得・収入に対しては「満足」が39.7%、「不満」が59.8%と、大きく逆転しています。前回調査(令和元年6月実施)から満足度は10ポイント以上も低下。コロナ禍による収入減も影響しているのでしょう。

 

また今度の生活の見通しについて、「良くなっていく」が6.6%、「同じ」が64.4%、「悪くなっていく」が27.0%。同じ質問は、1968年からほぼ毎年行われています。それによると、初めて「良くなっていく」が「悪くなっていく」を下回ったのは、バブル崩壊後の1994年。以降は一度も「良くなっている」が上回ることはありませんでした。

 

戦後、日本では「毎年、給与はあがる」ことが当たり前でした。その常識が崩れたのが、バブル崩壊後、不良債券問題で揺れた1998年のこと。当時の平均給与は464万円。前年比99.5%と、わずかながら前年を下回りました。以降、何度か前年比プラスを記録する年もありましたが、基本的に減少傾向で、2009年には405万円と、400万円を下回るギリギリの水準までに。その後、アベノミクスの効果などもあり、2010年代は上昇に転じましたが、2020年の平均給与は433万円。30年前と同水準です。

 

給与は上がりませんが、負担は増すばかり。2021年、高齢化率は29.1%。推計によると、高齢化率は2030年に31.2%、2040年には35.3%にまで上昇し、75歳以上の後期高齢者の割合も2040年には20.2%と、日本人の5人に1人にもなります。現行制度では高齢者は支えきれず、現役世代はもちろん、高齢者自身の負担もさらに増えていくでしょう。

 

このような先行きに対して、明るい未来を見るのであれば、負担以上に給与が増えることは必須条件。しかしそんな期待は1ミリももてない、それが日本の現状です。