家計のお金の出入りの実情を探る、総務省による『家計調査』。最新調査から収入と支出、そして家計に重くのしかかる社会負担についてみていきます。
平均手取り32万円…20年後にやって来る「逃れられない過酷」

2000年以降、税金や社会保障費の負担が大きく増加

このように元気がない日本の家計。消費欲が減少傾向のなか増えているのが、税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出や借金利子などである非消費支出。2000年に8万8,343円だったのが、2008年に9万1,486円と9万円台に。そして2018年には10万3,593円と10万円台を突破し、2021年は11万2,634円と、対2000年比127%。同じように世帯収入(実収入)は対2000年比107%ですから、税金や社会保障費の負担が、収入増に比べてはるかに大きくなっています。

 

細かくみていくと、直接税は2000年4万0,189円から2021年は4万7,242円で、117%増。それに比べて、社会保障費は2000年4万8,019円から2021年6万5,331円で、136%増と負担が大きくなっていることが分かります。これには2005年に介護保険料も加わったことも大きいようですが、公的年金保険料が3万0,424円から3万9,165円と128%増、健康保険料が1万6,238円から2万1,272円と131%増と、軒並みこの20年で大きく負担増となりました。

 

【勤労世帯の非消費支出】

非消費支出:88,343円/112,634円(127.50%)

直接税:40,189円/47,2424円(117.55%)

社会保障:48,019円/65,3314円(136.05%)

うち公的年金保険料:30,424円/39,1654円(128.73%)

うち健康保険料:16,238円/21,2724円(131.00%)

うち介護保険料:ー円/3,701

 

出所:総務省『家計調査 家計収支編』より算出

※数値左より、2000年、2021年

※(かっこ)内、対2000年増加率

 

日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は、2000年に17.4%だったのが、2000年代に急上昇。2005年に17.4%、2010年に23.0%、2015年に26.6%、2021年には29.1%。さらには75歳以上の後期高齢者の割合も15.0%と過去最高を記録しています。

 

さらに推計によると、高齢化率は2030年に31.2%、2040年には35.3%にまで上昇する見込み。後期高齢者の割合も2040年位は20.2%と、日本人の5人に1人は75歳以上という水準です。

 

これから先の日本を思うと、給与が増えて消費も増え……そんな未来を描くことは到底できないのは火を見るよりも明らか。高齢化社会を支えるために、現役世代の税金や社会保障費の負担はさらに増していくでしょう。

 

国は老後を見据えて自助努力も必要といいます。しかし「資産形成なんてなかなか始められない」というのが、平均的な日本人像といえそうです。