(※写真はイメージです/PIXTA)

体調不良が長引く、再発を繰り返す…。その原因は、もしかしたら「心理的逆転」かもしれません。心理的逆転とは何か、どうして起こるのか。心理的逆転を解除するにはどうすればよいのか。一つずつ見ていきましょう。東京原宿クリニック院長・篠原岳医師が解説します。

心理的逆転を「解除」するメリット

■治療で「症状だけを取り除く」こともできるが…

心理的逆転は、脳の混乱状態なので、解除することで症状改善が早くなります。

 

しかし、ただベッドに寝ているだけで、施術者が勝手に解除する、というわけにはいきません(そのようにもできますが、効果が薄いです)。

 

なぜなら、どうして脳の混乱をきたしているか、ということに「気づく」ことがとても重要だからです。

 

なんらかの体調不良がある場合、体がその症状を使ってあなたになにかの「お知らせ」をしている可能性があります。

 

そのお知らせの内容とは、たとえば今の生活が自分の本来やるべきことから外れているため、“それを続けていくと、最悪もっとひどくなり動けなくなってしまう”というものかもしれません。

 

そのような「お知らせ」を、あなたが「気づいて」受け止めるのか、それとも無視して対症療法をするのか、というのが問われているということになります。

 

前者を選んだ場合、症状を改善する以上に得られるものがある場合が多いのです。

心理的逆転の診断・治療方法

■近年注目されている「キネシオロジー」とは?

心理的逆転は、無意識の領域に巧妙に隠されていることが多いので気がつくのが困難です。

 

そこで、心理的逆転をみつけるための診断・治療法として、アプライド・キネシオロジー(以降、キネシオロジー)が注目されています。

 

1964年に、アメリカのジョージ・グッドハート博士が考案した、診断・治療のシステムで、「人は弱った部分に触れられると、筋力が低下する」というものです。

 

キネシオロジーを使うと、調子が悪ければ筋力が低下するので、術者はこの部分が調子悪い、と分かりますし、患者さんも、筋力が低下することが自覚できるので、双方にとってわかりやすい、という利点があります。

 

心の問題に対しても有効であるので、心理的逆転の判定に用いることもできます。

 

心理的逆転がある患者さんに、「治りたい」と言ってもらうと、筋力が低下します。

 

この筋力の低下を患者さんが体験すると、心が治ることに反対している、ということを実感できるので、頭だけではなく、体感として理解が深まるのが利点です。

 

キネシオロジーは、特に治療が効きにくい患者さんに対して許可を得て行うことにより、「気づきのお手伝い」となるのです。

実例:心理的逆転を解除した患者さんたち

■「止まらない咳」に悩む患者さん…薬も効かなかったが

心理的逆転があると、薬やサプリメントなどが効きにくくなることはお話いたしました。

 

ある方は咳が止まらず、どんな薬も効かないということで来院されました。

 

キネシオロジーでは、明らかに心理的逆転がありました。

 

咳が発生した時期を聞いてみると、自分の趣味である楽器を演奏して、動画で撮影して他人に披露してからだ、ということでした。

 

どうやら、人に見てもらうということに対して、過度に緊張してしまうので、咳が止まらないという症状に出ていたようです。

 

私の処方は、このようなメカニズムを解説したことと、動画撮影をやめてもらうことでした。

 

すると、咳はしばらくして治まりました。

 

■あらゆる不妊治療をしても妊娠できずにいた女性

また、ある女性は不妊に悩んでいて、あらゆる不妊治療をしていましたが、効果がありませんでした。

 

キネシオロジーでは、心理的逆転がありました。

 

小さい頃から母親に虐げられて育てられていたため、自分が母親になったときに、自分の子供にもそのようにしてしまうことが怖い、ということがわかりました。

 

つまり、心の底では妊娠したくない、と思っていたということです。

 

心理的逆転を解除するためには、本当に子供が欲しいのかどうか、ということに長期に向き合う必要がありましたが、その結果、心理的逆転が解除され、妊娠することができました。

次ページ心理的逆転の実例

本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。