(※写真はイメージです/PIXTA)

長引く倦怠感や気分の落ち込みで病院を訪れた結果「うつ病」と診断され、多くの薬を処方された経験のある方は少なくありません。「いつかはよくなる」と信じて服用を続けても、悪化し続ける場合も……投薬治療によりうつの症状が悪化してしまった30代女性の具体例をもとに、天神ホリスティックビューティークリニック院長の橋本知子氏が症状改善のための「意外なアプローチ」を紹介します。

“うつかも?”の背景にある「新型栄養失調」

不安、気分の落ち込み、眠れないなど、うつ状態と診断される症状の背景に、「新型栄養失調」が考えられます。

 

もちろん、「2週間以上続く心身の不調」がある場合は、必ず医療機関を受診していただきたいところです。器質的な疾患の有無、また精神疾患がないかどうか専門医に適切に判断してもらったうえで、栄養学的なアプローチを進めていくことが大切です。

 

栄養状態が悪ければストレス耐性も弱まってしまいます。

 

タンパク質やビタミンB群、ミネラルなどの必要な栄養素が不足していると、幸せホルモンのセロトニン、睡眠ホルモンのメラトニン、ときめきホルモンのドーパミン、やる気ホルモンのノルアドレナリン、リラックスホルモンのGABAなどの神経伝達物質がスムーズに作られず、うつ状態になることがあるのです。

 

抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬などの薬には、各々のホルモンがうまく働く補助の役割があります。しかし、必要な栄養素が足りなければ薬の効果が不十分になったり、副作用が出やすくなったりします。栄養をしっかり補うことで、はじめはゼロにならずとも減薬につながる可能性があります。

 

また、分子栄養学では、ウイリアム・ウォルシュ博士が提唱した「うつ病の生化学的タイプ分類」があります。メチレーションなどの状態により分類ができ、抗うつ剤のSSRIが効かないタイプを見分けることができます。内服が効かない場合は、血液検査からどのタイプかを判断し今後の治療方針を決めていくことも可能です。

 

分子栄養学的アプローチとして

 

1.腸内環境を整える(栄養をきちんと吸収できる状態にする)、食生活の見直し
2.慢性炎症の治療(上咽頭炎、口腔内の炎症、脂肪肝など)…炎症があると栄養の吸収が阻害されるため
3.血液検査から足りない栄養素を推測し補充していく

 

などの方法があります。このようにして栄養バランス不全が是正されれば、抗うつ薬や抗不安薬なども遥かに効きやすくなります。また、精神科治療との併用療法を行うことで症状の消失、副作用の軽減を期待でき、自立した生活へ戻ることができるのです。

うつ状態改善には「タンパク質」と「ビタミンB群」

特にタンパク質とビタミンB群の不足でうつ状態になりやすくなります。リモートワークや外出自粛でおにぎりやカップ麺、パンなどの炭水化物に偏った食生活にはくれぐれも気をつけて欲しいです。タンパク質(肉・魚・卵・豆類)を意識して、毎食「片手いっぱい」くらいの量を摂るよう心がけましょう。

 

またビタミンB群は8種類あり、チームで働くためB群全体が必要です。不足している場合はB群のサプリメントで補充することをお勧めします。

 

「原因不明の体調不良」、「心の不調」を感じたら、まずは自分の食事を見直すことから始めていただきたいと思います。

 

 

橋本 知子

天神ホリスティックビューティークリニック 院長

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。