定年年齢は60歳から65歳、そして70歳と引き上げられていますが、いつか訪れる定年より先、どのような未来が描けるものでしょうか。高齢化が進む日本で、多くの人が経験するだろう老後を考えていきます。
夫婦で年金「月21万円」…100歳まで生きる「恐ろしいほどの残酷」

年金が頼りの高齢者夫婦、毎月の赤字額は?

努力義務とはいえ、70歳まで働ける社会が目の前に迫っています。仮に70歳で定年を迎えたとしたら、そのあとの人生は男性で平均16.18年、女性で20.49年あります(厚生労働省『令和2年簡易生命表』より)。

 

また人生100年時代といわれていますが、全国で100歳超えは7万9,523人、日本最高齢に近くなる110歳になると、全国で141人います(総務省『令和2年国勢調査』)。日本人の寿命は伸び続けていますので、100歳まで生きるのも現実的なものだといえるでしょう。

 

総務省『家計調査家計収支編』(2021年)によると、65歳以上夫婦の無職世帯の実収入は23万6,576円、そのうち公的年金は21万5,603円、税金や社会保険料などを除いた可処分所得は20万5,911円です。それに対し、消費支出は22万4,436円。毎月1万8,528円の赤字が出ています。

 

【65歳無職夫婦の家計イメージ】

■実収入:236,576円(うち公的年金:21万5,603円、可処分所得:205,911円)

■実支出:255,100円(うち消費支出:224,436円)

・食料 65,789

・住居 16,498

・光熱・水道 19,496

・家具・家事用品 10,434

・被服及び履物 5,041

・保健医療 16,163

・交通・通信 25,232

・教養娯楽 19,239

・その他の消費支出 46,542

■赤字:-18,525円

 

出所:総務省『家計調査家計収支編』(2021年)より

 

仮に、65歳定年から100歳まで生きたとしましょう。35年間、420ヵ月なので、赤字は780万円近くになる計算です。35年間、支出が一定ということはありえませんし、この赤字額はあくまで数値上のもの。ただ年金だけで生活をまかなうのは難しく、足りない分は貯蓄を取り崩す……という事実は、多くの高齢者に共通することでしょう。

 

高齢化が進み、公的年金の受給額は毎年引き下げられているなか、高齢者の生活はますます厳しくなると考えられます。そんな将来の見据えて「自助努力を!」といわれているものの、給与がまったく上がらないなかでは、資産形成も思うように進められない、という悲鳴も聞こえてきます。ただ貧しく生きる……望まぬ長生きが当たり前となる日本が訪れようとしています。