(※写真はイメージです/PIXTA)

晩婚化や働き方の多様化から「不妊」に悩むカップルは多くいます。不妊の要因はさまざまですが、そのひとつに「栄養不足」が挙げられると、新百合ヶ丘総合病院の袴田拓氏はいいます。また、袴田氏は現代女性の「美意識の過剰な高まり」が、栄養不足の一端にあると警鐘を鳴らしています。不妊解決のカギを握る要素について、「栄養」の観点から詳しくみていきましょう。

栄養改善で妊娠促進に成功した例

栄養改善で体調不良を克服し、妊娠を促すことにも成功した症例をご紹介します。

 

34歳女性、初めからお子さんは3人ご希望で、2人はスムーズに授かったものの以後5年間妊娠せず、それどころか1年半前から「うつ」症状で心療内科に通院するようになってしまいました。

 

頭痛、肩こり、気が滅入る、不安感、ひどい寝汗と悪夢を訴えていました。家族が残したものを適当に食べる食生活だったそうです。

 

血液検査はヘモグロビン:11.0g/dl、フェリチン:7ng/ml、空腹時中性脂肪:40mg/dl、ビタミンD:15ng/ml。重度の鉄欠乏性貧血、低血糖傾向、ビタミンD欠乏と判断されました。

 

そこで、経口鉄剤とビタミンDサプリメント、並びに食事アドバイスを行うと、5ヵ月後にはすっかり元気になり9ヵ月後には妊娠することができました。

近年多い「栄養型うつ・栄養型不妊」…食生活の見直しを

「分子栄養学」ではこのような栄養の質的アンバランスと関連する「栄養型うつ」の存在が、女性においてより多いことを問題視しています。

 

戦後、日本は資本主義経済のもと経済を大いに発展させてきました。しかし一方で大量生産・大量消費などあくなき利潤追求を重ねてきた結果、私たちは食や栄養の価値、ヒトの本来あるべき姿を見失い、気付いてみれば「命のバトン」さえも売り渡そうとしているのではないでしょうか。

 

「少子化問題」には色々な議論があり、持続可能な定常人口に向かっているとする肯定的意見もあります。しかし望んでも授からない「不妊問題」の深刻化は、過剰な人口減少に対するブレーキ故障を意味するかもしれません。

 

不妊でお悩みの方のなかには「栄養型不妊」が一定の割合で含まれています。現行の不妊治療に加えてさらに効果的な対策が求められるなか、「栄養」という古くて新しい視点からのアプローチは事態改善へ向けての切り札として期待されます。

 

 

袴田 拓

新百合ヶ丘総合病院 予防医学センター・消化器内科部門部長

医学博士

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』掲載の記事を転載したものです。