(※写真はイメージです/PIXTA)

糖尿病の患者さんに、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)という病気(糖尿病足病変)にかかる人が増えています。足の切断に至ることも決して少なくない、糖尿病足病変。どう予防し、どのような検査を受ければよいのでしょうか。糖尿病治療と足の専門医である、下北沢病院・富田益臣氏が解説していきます。

②「糖尿病の合併症のある人」

<確認しておきたい「足の傷」>

 

糖尿病の足病変の基盤となるのは神経障害や血流障害などの合併症ですが、「高血糖による免疫機能の低下」「糖尿病網膜症や白内障などによる視力障害」「透析などの腎不全」「足に合わない靴」なども原因となります。

 

合併症がある方は、足に靴擦れや傷ができていないか確認することが重要です。

 

<病院でおこなわれる「足の検査」>

 

□糖尿病神経障害の検査

 

●アキレス腱反射

 

打鍵機を使って、アキレス腱反射が起こるか調べる検査です。神経障害が進行すると反射はなくなってしまいます。

 

●振動覚検査

 

音叉(おんさ)という器具を使って、震えが感じられるかを調べる検査です。

 

振動覚検査

 

●モノフィラメント検査

 

足の裏を、柔らかくて細いナイロンの糸で触り、足の裏の感覚がどの程度あるか調べる検査です。

 

モノフィラメント検査

 

□血流の検査

 

●足の動脈拍動のチェック

 

足には足背動脈(そくはい)動脈と、後脛骨(こうけいこつ)動脈の2つの動脈があり、これらの動脈は手首と同じように指で脈を感じることができます。

 

足の動脈拍動のチェック

 

●足関節上腕血圧比(ABI)の測定

 

両腕と両足首の血圧を同時に測り、足への血流の流れを調べます。

 

●下肢動脈超音波検査

 

超音波検査で腹部〜足の動脈の流れを調べます。

 

<主治医に質問し、把握しましょう>

 

合併症がある方は、ご自身の合併症の状態を把握してください。主治医は、あなたにどんな合併症があるのか把握しています。神経障害や血流障害はあるのかどうか主治医に聞いてみましょう。

 

糖尿病の合併症は、最初は自覚のないことが多いですが、初期にきちんと治療することで発症予防や進展抑制につながります。その上で、きちんと血糖のコントロールを行いましょう。

③「足の潰瘍(かいよう)がある糖尿病の方」

<恐ろしい…「潰瘍」が「壊疽」に至るまで>

 

足の潰瘍とは、足の皮膚が欠損した状態を指します。潰瘍の周囲が赤く、膿(うみ)が出て化膿(かのう)している場合は感染を合併しています。

 

高血糖状態にあると、細菌と戦う力が弱まるため、傷は膿みやすく、感染しやすくなります。

 

また糖尿病の方の足の潰瘍はなかなか治りません。血液は傷を治すために必要な成分を届ける役割をもつのですが、糖尿病の患者さんは膝から下の血管が詰まりやすく、足への血の流れが悪くなりやすいのです。

 

足に傷ができても、その傷を治すために必要な血液が足りず治らないばかりか、傷の周りの健康な皮膚までもが死んでしまう「壊疽状態」になることがあります。

 

そして、広範囲の壊疽や重症の感染を合併した足の潰瘍には、切断が必要となります。

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。