(※写真はイメージです/PIXTA)

糖尿病の患者さんに、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)という病気(糖尿病足病変)にかかる人が増えています。足の切断に至ることも決して少なくない、糖尿病足病変。どう予防し、どのような検査を受ければよいのでしょうか。糖尿病治療と足の専門医である、下北沢病院・富田益臣氏が解説していきます。

①「糖尿病と診断されたばかりの人」

<知っておきたい…「アメリカの糖尿病患者25%が足の潰瘍」という事実>

 

「歩くこと」はあまりにも日常的な行為であり、「もしも歩けなくなったら…」と考えることはあまりないかもしれません。

 

しかし糖尿病患者さんの中には、糖尿病による合併症が原因で「足を切断」し、「歩けなくなる」方がいます。

 

アメリカでは糖尿病患者の25%が生涯のうち1度は足の潰瘍になり、足の切断原因のうち85%は潰瘍であるといわれています。

 

足を毎日観察する、清潔に保つ、爪をきちんと切る、足にあった靴を履く。もちろん食事、運動療法で血糖値をしっかりコントロールすることも重要です。

 

一生自分の足で歩き続けるために、糖尿病と診断されたら足に関心を向け、大切な「足」を守りましょう。

 

<病院での検査で「意識すべき値」>

 

次に、その時点での糖尿病の状態を確認しましょう。

 

糖尿病のコントロール状態をあらわす指標として、ヘモグロビンA1c(HbA1c)値を重視します。過去1~2ヵ月間の平均血糖値を反映し、かつばらつきが少ない値であるため、主要な判定はヘモグロビンA1c(HbA1c)値によって行なわれます。

 

空腹時血糖値は代謝状態を示す値としては比較的安定しており有用です。食後2時間、血糖値は食事の量や質ならびに治療法などにより変動しますが、心血管リスクとの関連が指摘されています。

 

現状の確認を終えたら、次は糖尿病の合併症が出現しているかどうかを確認します。

 

糖尿病と診断されたら、糖尿病網膜症の確認のため、1年に1回は眼科を受診しましょう。そして糖尿病腎症の確認のためには、尿検査や尿中アルブミンを測定する必要があります。神経障害の確認のためには、アキレス腱反射や5.07モノフィラメントの検査を行いましょう。

 

<目標を設定し、きちんと通院を>

 

そして定期的にきちんと通院しましょう。

 

日本糖尿病学会は、「血糖コントロール目標値」を次のように定めています。

 

  • 血糖正常化を目指す際の目標 HbA1c 6.0%未満
  • 合併症予防のための目標 HbA1c 7.0%未満
  • 治療強化が困難な際の目標 HbA1c 8.0%未満

 

ここでは、糖尿病の合併症である「末梢神経障害」の出現や進行を食い止めることが目的であるので、HbA1c・7.0%未満を目指します。

 

ただ、実際にはそれぞれ、年齢と合併症に応じた適切な治療目標を設定することが肝要です。また血流障害が進行しないように血糖値、血圧、コレステロールの値を目標範囲に保つことも重要です。喫煙されている方は禁煙しましょう。

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。

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