日本では長らく「宅配便は対面での受け渡しが普通」とされてきた。ここ2年ほどで普及してきた「置き配」はユーザーにどう受け止められ、社会にどう影響を及ぼしてきたか。物流ジャーナリスト・刈屋大輔氏が解説していく。 ※本連載は、書籍『ルポ トラックドライバー』朝日新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
「日本で置き配は御法度だった」…アマゾンが決行した〈対面受け取りの格下げ〉への反応 (※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍で「置き配への抵抗感」は薄まりつつあるか

やや不謹慎な表現になってしまうが、昨今の新型コロナ騒動は置き配の浸透にとって追い風となっている。ウイルス感染防止の観点から、対面での商品受け取りを回避したいと考えている通販ユーザーが増えているためだ。

 

配送する側でもそうしたニーズを受け入れて、受領印や受領サインのやり取りを省略したり、インターホンを押して訪問を伝えたうえで商品を玄関先に置いて帰るなど、配達員と荷受人の接触を避ける対策を講じている。

 

従来から置き配に比較的寛容だった欧米諸国とは異なり、日本では長らく、宅配便は対面で受け渡しすることが常識とされてきた。日本の宅配便会社はそのことを前提に配達ネットワークを構築し、手間の掛かる再配達にも追加料金を徴収せずに対応してきた経緯がある。

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しかし、ネット通販の普及で宅配便の利用頻度が一気に増したことで、ユーザー側の宅配便サービスに対する許容範囲は広がったようだ。

 

アマゾンの実証実験結果を見るかぎり、ユーザー側の置き配への抵抗感が薄まりつつある様子が窺える。

 

 

刈屋大輔

青山ロジスティクス総合研究所代表