投資信託は、さまざまな商品に分散して運用する商品ですが、どの投資信託でも、リスク分散がそれだけでできているということではありません。投資信託はどのように選んだらいいのでしょうか。独立系FPが著書『ていねい図解!初心者のための投資信託教本』(日本橋出版)で「投資信託の選び方」をわかりやすく解説をします。
「資産寿命」を延ばす決め手は「投資信託」、その選び方は?【FPが解説】 ※写真はイメージです/PIXTA

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大切なことは「分散効果」を得るコツ

(6)複数持つことで、リスクヘッジする

 

長くなりましたが、さて、本題に入っていきましょう。勿論、お持ちの投資信託の1本だけに、色々な資産クラスの投資商品が入っているものもあります。それは、バランス型ファンドと呼ばれているものです。株と債券のバランス型。株と債券とリートと金などの商品(コモディティ)とのバランス型。日本と海外のもののバランス型。異なる資産クラスの金融商品が入っている投資信託です。

 

本連載を読まれている方は初心者の方が多いと思うのですが、預貯金や保険商品以外の金融商品をあまり持っていない方が、バランス型ではない投資信託を1本だけに絞っているのは少し心配です。例えば、インデックスファンドがいいと聞いたからと、日本のTOPIX連動型 、又は米国のS&P500連動型を1本だけ持っているというケース。「投資信託って、既に分散されているんですよね?」と恐々言われます。

 

分散されているかどうかと言えば、分散がされていないことはありません。部分的には分散されています。倒産リスクは、それぞれの会社にあり、それが何社か集められていれば、全部が倒産する確率は低いでしょう。そうではありますが、それは、あくまでもその資産クラスの中での分散です。

 

似たような金融商品の中のリスク分散ということです。例えば、日経平均連動型の投資信託であれば、日本の株式中でも、東証一部上場銘柄のうち、代表的な225銘柄を組み込んだものを基に計算されています。日本には昨今約400万社以上の会社があると言われていますが、東証1部に上場している企業は、そのうちの2,171社(2020年5月20日現在:日本取引所グループJPX 更新データ)です。

 

そして、日経平均株価というのは、2,171社のうちの225 社。その中での分散ということになります。また、TOPIXは、Tokyo stock price indexの頭文字などをとって作られた言葉で、東京証券取引所第一部上場株式銘柄を対象としていて、日本株のベンチマークとなっています。

 

けれども、日本の取引所は東京だけではありません。名古屋証券取引所、福岡証券取引所、札幌証券取引所、またそれぞれの取引所にそれぞれ新興市場があります。マザーズやジャスダックが有名です。うち、東京証券取引所と名古屋証券取引所には、一部のみならず、二部もあります。仮に、その日経225や、TOPIXに連動している投資信託を持っていたとして、日本の市場全体が不景気傾向にあり、多くの企業の株価が下がった場合、自分の資産のリスクを分散していると言えるでしょうか。持っている1本、若しくは2本が、下がっていくのを見ているだけとなります。

 

投資信託であっても、1本だけ保有というのは、おすすめでないということがお分かりいただけたかと思います。他資産との兼ね合いで、他の資産カテゴリーの金融商品を既に持っている方は、投資信託ではこの資産カテゴリーの1本のみというのは、勿論問題ありません。

 

「複数本の商品を持つことでリスクヘッジ」できるというのは、こういうことです。今後新しい投資信託を買うのであれば、既に保持している投資信託がどこの資産クラスに分類されるのかを理解し、2本目、3本目は、それと違う種類の投資信託を選んでいく、これが、複数本の商品を選ぶときに、大切なことになります。分散効果を得るコツです。
 

 

福田 由美
独立系FP
財務アドバイザー

 

 

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