オミクロン株の感染拡大により、コロナ禍がいつまで続くか、依然として不透明な状態が続きます。その影響で貧困に苦しむ人たちが増加していますが、内閣府の調査から「貧困は連鎖する」という実態が浮き彫りになりました。みていきましょう。
貧困はどこまでも連鎖する…親の低学歴が招く「子の代まで低学歴で低収入」という悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

【関連記事】一度も正社員になれない「氷河期世代」老後も報われない酷い現実

「親の学歴」によって生じる「収入格差」の実態

昨今、よく耳にする「貧困層」という言葉。正確には相対的貧困層と呼ばれ、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯の人数の平方根で割ったもの)が中央値の半分に満たない世帯とされています。

 

単純に「可処分所得の中央値の半分以下」と考えた場合。たとえば厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』から算出すると、年収は額面200万円、手取り163万円程度になります。また内閣府による『令和3年 子供の生活状況調査の分析』では、等価世帯収入の中央値は317万5,400万円なので、貧困層は158万7,700円以下の世帯となります。1ヵ月あたり13万円程度。この金額で食べていかなければならない……これが日本の貧困層の実態です。

 

前出の内閣府調査によると、「父母のいずれも大学またはそれ以上の学歴」だった場合の貧困率は3.9%、「父母のいずれかが、大学またはそれ以上の学歴だった場合」の貧困率は6.4%、「その他の場合」の貧困率は19.0%でした。

 

父、母別に最終学歴ごとの貧困率をみていくと、母親の最終学歴が「大学またはそれ以上の場合」は4.6%、それに対して「高校卒」の場合は19.7%、「中学卒」の場合は40.6%。父親の最終学歴が「大学またはそれ以上の場合」は5.3%、「高校卒」の場合は14.1%、「中学卒」の場合は33.3%でした。親が高卒か、それとも大卒以上かで、貧困率に3倍以上の差が生じています。

 

また前出の厚生労働省の調査によると、最終学歴が高校の場合の基本給月額は平均27万4,000円。それに対して大卒の場合は、36万2,900円。毎月9万円程度の差が生じています。さらに賞与を加えた年収では、高卒の場合は395万6,000円に対して、大卒の場合は558万2,000円。その差、150万円以上。月収以上の差がついてしまいます。

 

「世の中、学歴ではない」とはよく言ったもので、実際、大学に入っていなくても成功している人はもちろんいます。しかし学歴が高いほど収入が多く、貧困とは遠い関係にあるというのが、圧倒的な事実です。