収入格差による教育格差…貧困の連鎖が止まらない
貧困は、子どもの将来を左右することが想像できます。前出の内閣府の調査では、「子どもが将来どの段階まで進学すると思うか」を尋ねています。それによると、「大学またはそれ以上」が50.1%。日本の大学進学率は50%超ですから、それに近しい数値です。「短大・高専・専門学校まで」が19.7%、「高校まで」が16.3%、「中学まで」が0.5%となっています。
収入別にみていくと、中央値以上では「大学またはそれ以上」が67.2%に対し、貧困層では25.9%。最も高いのは「高校まで」で37.5%でした。
その理由をみていくと「進学希望・展望が高校まで」で最も多いのが「子どもの学力から考えて」で47.6%。「子どもが希望しているから」が32.1%、「家庭の経済的な状況を考えて」が30.5%。一方、「大学まで」で最も多いのは「子どもが希望しているから」で60.2%。「一般的な進路だと思うから」が38.0%、「子どもの学力から考えて」が33.6%。経済的な理由をあげたのはわずか5.7%でした。
また収入別にみていくと、中央値以上では「子どもの学力から考えて」が最も多く58.4%、「子どもが希望しているから」36.6%と続きます。一方で貧困層では「家庭の経済的状況を考えて」が最も多く44.4%。「子どもの学力から考えて」37.9%、「子どもが希望しているから」32.3%と続きます。
「親の学歴が低い」→「収入が低い」→「経済的理由で子どもが進学できない」→「子どもも学歴が低い」……。まさしく貧困の連鎖です。
ソーシャルワーカーの配置や無利子の奨学金、こども食堂での学習支援など行政や民間団体などが協働して、貧困からくる教育格差是正を図る取り組みはさまざま行われています。しかしこの不幸の連鎖を断ち切ることは容易ではありません。生まれた環境ですべてが左右されない社会の実現に向けたハードルは、あまりにも高いものがあります。