大学入学共通テストの会場となる東京大学の前で受験生ら3人が切り付けられた事件。逮捕された17歳の男子生徒は、「俺は東大を受験するんだ!」と叫んだといいます。そもそも東大生は、なぜ東大を志望したのでしょうか。東京大学『学生生活実態調査』から紐解いていきます。
(※写真はイメージです/PIXTA)
コロナ禍で最悪の結果を選んだ子どもたち…その理由は?
前述の生徒がなぜ東大にこだわっていたのか、正確なことはわかりませんが、東大生が東大を目指していた最大の理由は、内的要因というよりも外的要因によるものが大きいことがわかります。また東大に固執する人も半数強ということから、精神的に逃げ場を失うようなケースもあることが伺えます。
さらに新型コロナ感染症拡大による影響で、通常とは異なる環境のなか、不調をうったえる子どもたちが増えています。なかには最悪の結果に繋がることも。
文部科学省『コロナ禍における児童生徒の自殺等に関する現状について』(令和3年6月25日公表)によると、令和元年279人だった高校生の自殺者は、翌年339人と120%増。さらに2021年5月までも、前年同月比を上回って推移しています。
その要因として最も多いのが「学業不振」や「その他進路に関する悩み」。もちろん自殺の多くは単純な理由ではなく、多様かつ複合的な原因や背景を有しているとされているので、短絡的にこれらが最悪の結果を招いた要因と断定することはできません。また今回の凶行を、自殺問題と同列で考えることも早計です。しかし主に「いじめ」や「人間関係」で語られることの多い自殺が、高校生の場合、実は「学業」「進路」の悩みが引き金になることを、大人はいま一度知ることが大切です。