(※写真はイメージです/PIXTA)

虫歯の治療は、進行の程度や担当医の治療方針によって大きく異なってきます。虫歯治療の際、歯を「抜く」のか「抜かない」のか……その驚きの判断基準について、吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックの吉田格代表が解説します。

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顕微鏡の実用化で「歯を残す技術」は格段に進歩した

実はその背景には、歯科でも顕微鏡が実用化してきたことと、自由診療の普及があげられます。

 

 

1997年ごろ、歯科界に顕微鏡が出現し、歯科治療は大きな変革期を迎えました。口のなかは見えるようで見えないところが多いのですが、そこを明るく拡大し、見て確認しながら治療できるようになったのです。

 

つまり顕微鏡を適切に用いることで、以前なら抜歯の対象になっていた歯のうちの一部を、保存できるようになったのです。さらに、治療を録画し、患者さんに説明できるようにもなりました。

 

 

たとえば上の動画のように歯の頭がなくなり健全な歯が歯肉のなかに埋もれてしまった場合、抜歯を勧められることが多いです。しかし顕微鏡をよく見ながらの治療なら感染源が過不足なく除去でき、なおかつかなりの精度で補綴することができるようになります。

 

また根管治療は、顕微鏡をもちいることで、訓練すれば誰でにも良好な結果をだせるようになったのです。

 

しかし、顕微鏡は設備投資額が大きいことに加えて、顕微鏡を使う治療は正確さを求めるために時間がかかります。さらに、スタッフも含めて練習が必要で導入ハードルが高いため、まじめにやると健康保険では大きな赤字になります。

 

現在、根管治療を自由診療でおこなう歯科医院が増えているのはそのためで、同じく自由診療であるインプラントを考える前にぜひ検討していただきたい方法です。

 

また、進行しすぎた感染は根管治療をおこなっても除去しきれないことがあるのですが、歯根尖切除(しこんせんせつじょ)といって感染源が集中している歯の根っこの先端を手術でカットし、歯をそのまま使っていこうという方法があります。

 

かつて、この手術は成功率が芳しくなかったので、積極的にはおこなわれてきませんでした。しかし顕微鏡を用いることで成績が格段に向上し、再び注目されるようになりました。

まだまだある!歯を保存する方法

顕微鏡がなくても、ちょっと工夫すると歯を残せる方法があります。それが矯正的挺出(きょうせいてきていしゅつ)です。

 

矯正的挺出
矯正的挺出

 

上の写真のように歯にゴムやスプリングをかけて、残ったわずかな歯の根っこを使える位置にまで引っ張りあげる方法です。

 

それから、場所が難しくて歯根尖切除ができない場合は抜歯になりますが、そのまま捨ててしまうのではなく、抜歯した歯を目で見て感染源を除去し、また元に戻す再植(さいしょく)という最後の切り札があります。

 

本当に抜歯しますので、そのときの力で歯が損傷したらもう使えません。最終手段の条件付きの施術となりますが、うまくいくと劇的な改善をみます。

 

一度歯を抜いて綺麗にしてまた元に戻す再植術https://y-dc.org/minimal-intervention/tooth_replantation.html

どうしても抜歯しなくてはならない歯もある

これほど技術が進んだ現在でも、残念ながら歯を保存できない場合があります。

 

よくあるのが、神経をとった歯が一刀両断に真っ二つになること。これを歯根破折(しこんはせつ)というのですが、こうなると細菌がヒビに入り込み、抜歯しない限り除去できません。

 

ここで躊躇していると感染で骨がどんどんなくなっていき、のちに入れる義歯(入れ歯)が不安定になりやすかったり、インプラントにすることが難しくなったりします。ですから歯根破折が見つかったら、痛みがなくても行動を急がなくてはなりません

 

かなり特殊な方法ですが、割れた歯を接着剤で固定するという方法があります。しかし結局感染が除去しきれない、物を嚙む(荷重をかける)と早晩また割れるなど信頼性が乏しいので、個人的にはおすすめしていません。

 

歯を抜く抜かないの選択肢はここには書ききれませんので、以下をご参照いたければ幸いです。

 

セカンドオピニオンもう一つの意見を聞いてみよう(https://www.y-dc.org/wp/information/second_opinio

 

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本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。