日本の「大学院進学率」は主要国でも下位グループ
進学率でもうひとつみていきたいのが、「大学院進学率」。こちらはOECDの資料からみていきます。それによると、世界の主要国で最も大学院進学率が高いのは「フランス」で38.6%。「ポーランド」で30.9%、「ノルウェー」27.6%、「ベルギー」27.2%、「ポルトガル」27.1%と続きます。一方、日本は……38ヵ国中29位。大学への進学に比べて、大学院への進学は主要国でも非常に少ない国のひとつです。
【世界主要国「大学院進学率」上位10】
1位「フランス」38.6%*
2位「ポーランド」30.9%*
3位「ノルウェー」27.6%
4位「ベルギー」27.2%
5位「ポルトガル」27.1%
6位「スロベニア」27.0%
7位「スロバキア」25.9%
8位「ロシア」25.3%*
9位「イタリア」23.9%
10位「デンマーク」23.0%
出所:OECD(2019年)より算出
*留学生を含む数値
先進国で「修士・博士」の取得者が増加していますが、日本では減少傾向にあります。なぜこのようなことになっているのか。その一因は給与にあるといわれています。
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、男性会社員の平均年収は546万円。大学卒に限ると637万9,000円。大学院卒に限ると791万1,000円。その差は150万円ほどです。
さらに従業員1,000人規模の企業に限ると、大卒男性会社員の平均年収は725万6,000円、大学院卒男性会社員は831万2,000円。その差は100万円ほどになります。
大学院を卒業したほうが、平均年収は高くなりますが、「専門性を高めても100万円程度の差」というのが正直なところ。就職活動においても、大学院卒の専門性を活かせるところは少なく、むしろ不利になるという声も多く聞かれます。
このような日本に嫌気が差し、専門性を高めたいと考える優秀な学生は海外へ流出。日本失速の要因になっていると分析する専門家もいます。このままでは日本は「低学歴な国」になってしまう……そのような危機に直面しています。