文部科学省『学校基本調査』によると、日本の大学進学率は54.4%。世界の国々と比べていくと、日本が抱える問題点がみえてきました。
大学卒と大学院卒の微妙な差…進学の意味がない日本、低学歴化の危機 (※写真はイメージです/PIXTA)

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世界の大学進学率…OECDとUNESCOの資料からみえるもの

文部科学省『学校基本調査』によると、2020年度の大学進学率は54.4%。過去最高を記録しました。大学全入時代といわれて久しいので「もっと進学率は高いかと思っていた」という人もいるでしょう。

 

OECDの資料から世界主要国の大学進学率をみてみると、トップはギリシャで67.6%。「ベルギー」が63.9%と続きます。日本は14位。先進7ヵ国ではフランス(10位)、英国(12位)に次ぐ順位です。ちなみに受験戦争が過酷なことで知られるお隣の韓国は8位で57.6%です。

 

【世界主要国「大学進学率」上位10】

1位「ギリシャ」67.6%

2位「ベルギー」63.9%

3位「ポーランド」63.8%

4位「スロベニア」63.7%

5位「オーストラリア」58.9%

6位「リトアニア」58.0%

7位「アイルランド」57.6%

8位「韓国」57.6%

9位「ラトビア」55.8%

10位「フランス」54.6%

 

出所:OECD(2019年)より算出

*留学生を含む数値

 

ただUNESCOの資料をもとに大学進学率をみてみると、また違う結果がみえてきます。トップは変わらず「ギリシア」で148.5%。「オーストラリア」115.9%が続きます。日本はOECD加盟国のなかでは30位と下位に位置します。

 

【世界「大学進学率」上位10】

1位「ギリシャ」148.5%*2

2位「オーストラリア」115.9%*2

3位「トルコ」115.0%*2

4位「マカオ」113.0%*1

5位「グレナダ」104.5%*3

6位「ウルグアイ」102.6%*2

7位「韓国」98.4%*2

8位「プエルトリコ」97.5%*4

9位「アルゼンチン」95.4%*2

10位「ラトビア」94.8%*2

 

出所:UNESCO

*1 2020年

*2 2019年

*3 2018年

*4 2016年

 

OECDの資料は、入学者の各年齢別人数とそれに対応する各年齢別人口から算出されるもので、日本の短期大学相当の大学は含まず、さらに「25歳未満」かつ「初めて大学に入学する」人を対象にしています。それに対し、UNESCOによる大学進学率は日本の短期大学相当の大学を含み、大学への総入学者数を学入学適齢人口で割った比率で、浪人生や社会人などの適齢年齢以外入学者なども含むため、100%を超える場合があります。

 

これらの資料から「大学進学」のさまざまな一面がみえてきますが、そのひとつが日本の場合「高校卒業→大学入学」の一辺倒だということ。世界ではさらに専門性を高めるために、社会人を続けながら大学で学ぶという国も珍しくなく、キャリアの多様性にも繋がっています。「就職予備校」といわれる日本の大学教育。そろそろ転換期なのかもしれません。