なかなか終わりが見えてこない新型コロナウイルスとの戦い。そのなかで破産に追い込まれる人も珍しくありません。裁判所の資料から、日本の自己破産の現状をみていきます。
都道府県「破産件数」ランキング…1位「北海道」と47位「富山県」に2倍の格差 (※写真はイメージです/PIXTA)

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「自己破産件数」は改善傾向にあるが…

裁判所の「司法統計月報(速報値)」で最新の破産事件の状況をみていきます。2021年10月の破産事件は6,339件。そのうち自己破産は6,305件、さらに自然人(法人と対比されている概念で人のこと)は5,887件でした。

 

前年同月比までの累計でみていくと、2020年は6万4,751件だったのに対し、2021年は6万0,393件と、前年比93%。コロナ元年の2020年よりは幾分、改善傾向にあります。

 

そもそも自己破産とは原則、借金の支払い義務が免除されるもの。同じように個人民事再生というものがありますが、こちらは借金は大幅に減額されるものの、減額後の借金は返済しなければなりません。

 

また自己破産の場合、原則として現在価格が20万円を超える財産は処分されますが、個人民事再生の場合は、最低限、保有財産の価格と同等額は返済しなければならないものの、財産を処分されることはありません。ただし住宅以外の財産でローンの残債がある場合は処分されることがあります。

 

さらに自己破産をすると、手続きの期間中、特定の資格を有する職に就くことが制限されますが、個人民事再生の場合には資格制限はありません。

 

自己破産と個人民事再生。多くの場合は個人破産を選ぶことが多いようです。判断の目安はいろいろとありますが、たとえば、ギャンブルで多額の借金を抱えた場合はどうでしょう。自己破産には「免責不許可事由」があります。つまり例外的に借金が免除されないケースがあるということです。ギャンブルや浪費に関しては免責不許可事由となっているので、これらを理由にした借金の場合は、自己破産でも解決しないケースがあるのです。

 

また自己破産すると「資格制限」が適用されます。これは自己破産の手続き中、一定の資格や職業が無効、または制限されるというもの。自己破産中には士業の仕事はできなくなったり、貸金業や旅行業などの仕事もできなくなります。生命保険外交員や警備員などの資格も制限されます。資格制限の期限は、3~6ヵ月程度ですが、それがリスクなのであれば、個人再生が選択肢となるでしょう。