給料のうち、いくら貯蓄にまわせばいいのだろう……誰もが一度は考えたことでしょう。しかしお金のことは、人には聞きづらいもの。そこで総務省の統計データから、平均像を探っていきます。
年収200万円の「おひとり様」に待ち受ける、老後「働かないと暮らせない」の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役世代のおひとり様…「毎月12万円を貯蓄」が平均

二人以上の勤労世帯の貯蓄事情をみてきましたが、ひとり身の場合はどうなのでしょうか。

 

働いている単身者の手取り収入は平均28万円ほどで、12万円ほどが貯蓄にまわっています。一方、無職の場合の手取り収入は平均12万円弱で、毎月、1万6,000円ほどの赤字となっています。

 

[図表]単身世帯の収入と貯蓄
 

勤労世帯

無職世帯
実収入 359,437円 128,624円
うち勤め先収入 336,976円  
可処分所得 289,239円 117,056円
黒字 120,274円 -161,28円
黒字率 41.6% -13.8%

 

さらに勤労者に焦点をあててみていきましょう。年収100万円未満の場合、黒字は毎月4,000円ほど。ギリギリの生活です。「年収300万円未満」では毎月6万円ほど、「年収500万円未満」では毎月10万円ほど、年収600万円クラスになると、毎月25万円ほど貯蓄にまわせる余裕がでてきます。

 

【単身の勤労世帯…収入別「貯蓄額と貯蓄率」】

「100万円未満」 134,547円/3.20%

「100万~200万円」 137,806円/16.50%

「200万~300万円」 199,813円/31.80%

「300万~400万円」 265,281円/41.30%

「400万~500万円」 281,490円/37.00%

「500万~600万円」 352,477円/49.60%

「600万円以上」 507,534円/50.80%

 

出所:総務省『家計調査家計収支編』(2020年)より

会社員、平均年金14万円…取り崩せる貯蓄があればいいが

貯蓄の目的は人それぞれありますが、ひとつ多くの人に共有しているものといえば「老後資金」。

 

厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金の平均受給額は月額14万6,145円、国民年金の平均受給額は月額5万6,358円。老後、年金頼りの生活になったとき、頼れるのは貯蓄。「足りない分はそれを取り崩して補填する」と生活になるので、いかに現役時代に貯蓄できるかが鍵となります。

 

年収300万円未満の単身者の場合、1年で貯められるのは76万円ほど。10年で760万円、20年で1,500万円、30年では2,285万円になります。当然、不測の事態も考えられますが、生涯おひとり様を決意した際、300万円ほどの年収があり、コツコツと貯蓄をしていけば、老後は安心して暮らすことができそうです。

 

しかし年収200万円未満になると、1年で30万円以下、10年で300万円以下、30年で816万円ほどの貯蓄額という計算。足りない分は貯蓄を取り崩して……と考えると、少々、不安になる金額です。年を重ねても暮らしていくのが困難で「仕事がやめられない」といった事態に陥る可能性が高いでしょう。

 

厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、年収200万円未満(60歳未満の現役世代)は、0.42~1.3%*ほど。少数派ではありますが、「老後もずっと働き続けざるを得ない人」が、この日本にはいます。

 

*年間賞与、その他特別給与額が2.94ヵ月分支給されると仮定した場合