専門家の立会わない出産「無介助分娩(プライベート出産)」は国の政策やガイドラインによる規制があるにも関わらず、年々増加傾向にあります。本記事では、助産師の市川きみえ氏の著書『私のお産 いのちのままに産む・生まれる?』より一部抜粋・再編集し、「無介助分娩(プライベート出産)」経験者の声を紹介します。
第1子は病院で出産したが…あえて「プライベート出産」を選択した妊婦の経験談 (※画像はイメージです/PIXTA)

【関連記事】「諦めている」育児・パート・PTAに疲弊…産後うつ女性の限界

「プライベート出産(無介助分娩)」とは?

近年増加している無痛分娩は、出産が医療の管理下に行われるものであることを前提に、医療の力で陣痛の痛みを緩和させることで満足のいく出産をしたい選択であるのに対し、プライベート出産(無介助分娩と同義:本人が意図的・計画的に医療者の立会わないプライベートな環境で出産することを決め、準備も整えて行う出産で、かつそれを当事者が自己開示する出産)は、医療の介入がない環境で出産することにより、満足のいく出産をしようとする出産方法の選択です

※詳細は「現代における出産…「無痛分娩」と「無介助分娩」の二極化が進む背景」(資産形成ゴールドオンライン)参照。

病産院経験後に…あえて「プライベート」選択の理由

プライベートな環境を重視したC・Aさん

C・Aさんは、2002年に第1子を診療所で出産し、2005年に第2子、2010年に第3子をプライベート出産しました。

 

C・Aさんは、第1子は開業助産師永田さん(仮名)の立会いによる自宅出産を行う予定でした。しかし、陣痛が発来してから60時間以上たっても出産に至らず、助産所の嘱託医の診療所の分娩室を借りて永田さんの介助により出産しています。

 

自宅で“大勢の友達に囲まれて良いお産をしたい”と思って意気込んで臨んだ第1子の出産は、かえって進行の妨げになり、出産にはプライベートな環境が最適と考え、第2子はプライベート出産を選択しました。

 

スムーズに進まなかった第1子の出産について、このように話されています。

 

「友人たち(3人)もすぐに生まれると思っていたんですけど、全然生まれない。助産師さんが3人(永田さんと手伝いの助産師2人)来てくれてて、夫もいるし、狭い空間の中に人がたくさんいると、何か空気が悪くなってくるんですね。それで喧嘩が始まったりするんですよ。

 

そうすると、私は私のせいでこうなってる、早く産まなくちゃっていう心境になってきちゃうんですよね。自分のことより周りが気になって気になって。永田さんもご自宅に電話されたりして、自分より周りのために早く産まなくちゃ、みたいになったんです。

 

(略)

 

それであまり長くかかるから、助産師さんたちがこれはもう産ませようという感じになってきて、破水させたりいろいろされたんですね。

 

(略)

 

で、自分が主役になっていけなくなったんですよ」

 

そのような第1子の出産の反省から、第2子は「静かに産みたい」、「自分とつながって産みたい」とプライベート出産を行いました。この出産はスムーズな経過で、とても満足な出産体験となりました。

 

その後、C・Aさんは44歳で第3子を妊娠されました。年齢的に産後の家事・育児の負担から自宅出産より助産所での出産の方が望ましいと考えましたが、通える範囲に助産所はなく、再度プライベート出産を選択しました。

 

C・Aさんは第1子から自然出産を希望し自宅出産に臨んでいます。自然出産を希望していた理由を、自分と「母親との母子関係にある」と言います。C・Aさんの母親は子どもとのスキンシップが苦手でした。また、ハグすることやC・Aさんが子どもに授乳する姿を見て「気持ちが悪い」と言うのだそうです。

 

母親は生まれたとき(その)母親(C・Aさんの祖母)が他界し、母親に育てられていません。そして、母親自身は母乳育児をしておらず、C・Aさんは人工乳で育てられています。

 

C・Aさんは「私の母親は、母親自身が実母に育てられていないことが育児に影響し、私とうまく母子関係を築くことができなかったと思う」と言います。

 

そういったことから母子関係について勉強し、出産するときには子どもと良い関係を築きたい、そのために自然出産と母乳育児が望ましいと考えていたのです。出産の選択には、自分の母親のその母親(祖母)との母子関係、母親の育児や母親と自分の母子関係も影響します。