年金が主な収入源となる老後。足りない分は貯蓄を取り崩すことになりますが、その貯蓄はどのようにして増やしてばいいのでしょうか。さまざまな方法があるなか、FXで老後資金を作ることはできるのか、考えていきます。
40歳貯蓄なしの会社員…FXで「老後資金」を作ることはできるか? ※画像はイメージです/PIXTA

「将来的に受給できる年金」の予測金額

老後の生活を考えた際に、「どのような生活をしたいのか?」と考える前に、「どれくらいの費用が必要で、どのような生活ならばできるのか?」と考えている人も多いでしょう。

 

ポイントとなるのは「老後に掛かる資金」と「老後に得られる資金」の2点となります。政府の発表では「老後に2,000万円の資産が必要となり、この金額は自助によって貯めてもらいたい」というような話をしています。

 

収入が多い人にとっては問題ない金額でも、現在の日本の一般的な就業者の年収を考えると非常に厳しいと言わざるを得ません。また、老後になると若い頃にように「働いて収入を得る」ということが難しくなるので、働くことができる間に貯めなければならないため、ますます消費が落ち込むことになるでしょう。

 

まずは将来的に受け取ることのできる年金の予測金額について紹介していきます。

 

年金の種類について知ろう

老後になった際に、年金をいくら受給できるのかという話をする前に、日本で利用することのできる年金の種類について知らなければ話になりません。

 

日本で老後に受け取ることができる年金の種類については下記の3つが挙げられます。

 

・ 国民年金

・ 厚生年金

・ 私的年金

 

このようになっていて、この中で公的年金と呼ばれるのは「国民年金」と「厚生年金」の2点です。これらの年金の特徴について簡単に紹介します。

 

国民年金は20歳以上60歳未満のすべての国民が加入する義務のある年金となっていて、公的年金のベースとなっているものです。

 

厚生年金は会社員や公務員などが利用する年金制度となっていて、給与明細などをみると控除されていることが多いです。

 

最後に私的年金というのは加入の義務は無く、個人が個別に加入している年金となっていて、具体的なポイントとしては、企業が管理している「企業年金」や「iDeCo」や「つみたてNISA」などが含まれます。

 

正直な話をすると、これらの年金制度をフル活用している方の場合は老後になっても資金面で心配することはほとんどないと言っても過言ではありません。しかし、これらの年金制度をフルで利用することができる人は、ぶっちゃけた話をすると十分な収入を得ている人に限定されるので、年金制度が無かったとしても問題のない人となるでしょう。

 

問題となるのは、これらの年金制度のうち1つまたは2つしか利用することができない人となります。

 

それぞれの年金制度で、どれくらいの金額を受給できるのか

年金制度が破綻している噂を耳にしたところで、肝心なのは「1ヵ月間でいくらの金額が支給されるのか?」という部分です。

 

極端な話をすれば、老後になってからでも毎月50万円の現金が支給されるのならば、よほど激しい生活をしていない限りは生きていくのに十分な資金があると言えるでしょう。こちらでは、主に公的年金で受け取ることのできる金額について紹介します。

 

私的年金の場合は実施している金融機関や保険会社、証券会社のプランによって受け取ることのできる金額が異なるので、今回は省きます。

 

まずは国民全員の加入が義務付けられている国民年金の場合は、受給年齢や年金を納めた期間などによっても異なるのですが、最大で月額56,000円程度です。

 

どれほど切り詰めた生活をしていても月に56,000円で生活をするのは難しいでしょう。最も家賃の高い東京都では家賃を払うこともできない可能性があります。

 

次に厚生年金については年金を納めていた期間と金額によって変動する仕組みになっているので正しい数値を出すことは難しいですが、平均して月額145,000円とされています。

 

国民年金と厚生年金の両方を受け取ることのできる人の場合は月額20万円の年金を受け取ることができるので、これならば切り詰めた生活を続けていけばなんとかなるかもしれません。

 

ただしこの数字は国民年金・厚生年金ともに40年間納め続けた結果となるので、納めた期間の短い人や、年収が平均値に満たない場合はこの金額を下回ることになります。

 

年金で老後の出費を賄えない場合は、自分で貯めるしか無い

2021年現在の日本では「失った30年」と呼ばれるように、世界基準で見ると経済的に全く成長していない国の一つに挙げられています。

 

どれくらい経済的に成長していないのか紹介すると、アメリカやEU諸国などの経済的に成長している国が日本へ業務委託をする状態になっているというのが分かりやすいでしょう。

 

20年~30年ほど前までは日本の企業へ依頼すると品質が高くても金額が高かったために敬遠されていたものが、現在では安くて高品質なものを作ってくれるからと各国から買い叩かれている状態です。

 

また、日本からも賃金の安い国で生産をすることでコスト削減をしていたという歴史がありますが、近年では他国で製造するとコストが高くなるために日本国内での製造へシフトした企業も多くなっています。

 

このような状態になってから30年が経過していると考えると、これからわずか数年で画期的な変革が起きると予測することは難しいので、国民は自身で自分の老後の心配をしなければいけません。

 

日本政府が発表したデータでは年金が受給できる場合でも、老後のための資金としては2,000万円が必要だとされています。

 

年金に割かれている予算に関する大きな勘違い

年金を毎月キチンと納めている人の多くは「自分の納めた年金が、将来的に自分へ還元される」と考えている人が多いです。これは大筋では間違いではないのですが、年金に割かれる予算の考え方としては大きな勘違いを起こしています。

 

まずは年金に関する仕組みについて紹介しますが、現在の20歳~60歳の年金を納めている人たちが納めた金額は、納めた人たちが年金を受給できる年齢になった際に支給されるということではありません。現在進行形で年金を納めている人たちが納めた年金は、現在時点で年金を受給している人たちのために使われています。そして、現時点で年金を納めている人たちが年金を受給できる年齢になった際に支給される予算は、自分たちの子どもや孫の世代が納めた年金によって賄われることになります。

 

ここでポイントとなるのが、2021年現在でも減少を続けている出生率の低下です。出生率というのは、人口に対する出生の割合となっていて簡単に言えば「子どもを産む数が減っている」ことが挙げられます。将来的に労働人口が減少するということが確定している現代では、現時点で20歳~40歳ぐらいの人たちが年金を受給できる年齢になっても自分の納めた分の金額を受け取ることができません。

 

これが、年金システムが破綻しているとされる理由の一つとなっていて、現時点で年金を納めている生産年齢の方々は、現在の年金を受給している人たちの生活を支えながら、自分の老後のための資金も貯めなければならないということがポイントです。