(※写真はイメージです/PIXTA)

年末年始は、日本人にとって健康度を試されるような過酷な時期です。多忙な師走を駆け抜け、カラダに不調をきたしやすいこのタイミング。「歯の不調」も例外ではありません。今までなんともなかったのになぜ急に痛みがでるのか、そしてその対策について、吉田歯科診療室デンタルメンテナンスクリニックの吉田格代表が解説します。

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休日歯科診療所がもっとも忙しい時期…実は年末年始

1年のうち休日歯科診療所がもっとも忙しいのが年末年始、12月31日から1月3日までの4日間です。

 

普段の休日はそれほどでもありませんが、この時期は特別忙しくなります。私も元旦の休日診療に携わったことがありますが、普段そうそう診ることがないひどい痛みや腫れを持った人が集中します。

 

過酷な日本人の年末年始

 

年末年始は、日本人にとって健康度を試されるような過酷な時期です。

 

師走と言われるだけあって多くの人は仕事に追われ、そこに忘年会〜クリスマス〜お正月、と畳みかけるように暴飲暴食の機会が訪れます。

 

昨年は感染症の影響で忘年会ができず、今年はそのリベンジとばかり飲食の量がさらに増えている人も多いようです。

 

そうすると胃腸の負担と共に、必然的に睡眠不足とアルコールによる免疫の鈍化がおきます。その影響のひとつが、普段から放置しておいた慢性炎症の悪化。代表的なのが歯の周りの感染で、これが急激な歯の痛みの潜在的な原因です。

 

実際、腫れて膿がでている状態とはこの動画のような状態です。

 

炎症の悪化により歯肉から膿がでている状態

 

慢性と急性

 

慢性と急性という言葉を、何となく聞いたことがあるでしょう。慢性とは簡単に言えば、細菌感染はあるものの白血球が頑張っていて、細菌が増殖しても処分している状態です。プラスマイナス0で、均衡がとれているわけです。

 

一方急性とは、慢性が続いていたものの疲労やストレスで免疫(白血球)の動きが落ちてきたり、細菌の方が優勢となった結果、細菌がつくる毒素(炎症を起こす物質)の影響が強く出て、痛みや腫れが出現した状態です。

 

つまり慢性と急性は表裏一体で、原因は同じということです。

 

人の体は少々の異常があっても、自覚症状が出ないように作られています。体はあなたに仕事や遊びを楽しんでほしいので、異常があってもわざと黙っていて、あなたの知らない所で頑張って細菌を処分しているのです。なぜなら体はあなたのことが大好きだからです。

 

しかしそれもいつまでも……というわけにはいきません。その好意に甘え続けていると体もさすがに耐えられず細菌の方が優勢になり、ひどい腫れや痛みが出現する、つまり急性になります。

 

そこであらかじめ体の声を聴き、翻訳してあなたに伝えるのが私たちの仕事というわけです。

 

ストレスと免疫の関係性

 

ストレスが長期間加わると、脳の視床下部と下垂体という所から副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に向けて、コルチゾールという「ストレスに抵抗するホルモン」を分泌するよう指令がでます。この経路をHPA軸といいます。

 

現代人は常にじわじわとしたストレスに曝されていますから、コルチゾールが四六時中放出される傾向にあります。そこにさらに急なストレスが加わると、お馴染みのアドレナリンが分泌されます。

 

実は両者とも多すぎると、免疫を鈍らせることがわかっています。さらにコルチゾール分泌が長期間続くとHPA軸が機能不全となり、今度はコルチゾールが出なすぎて、元気がまったくなくなります。

 

これが最近良く聞く副腎疲労という症状で、現代人の不定愁訴の大きな一因と考えられています。アルコールも睡眠不足も同様に免疫を鈍化させますから、これらが重なるとどうなるかは、もうおわかりでしょう。

 

本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。