2020年1月~2月にロスカットができれば…
新型コロナウイルスの存在が世間に認知され始めてきた2020年の1月から2月のうちに、株式を思い切って売却した人がいます。なかにはそれが利益確定ではなく、ロスカットだった場合もあるでしょう。
しかしその後、感染は拡大し、世界中の株価が大暴落しました。いわゆる「コロナショック」です。このような局面では、購入時に想定していたロスカットの計算式よりも、「新型コロナウイルスによるパニックで大暴落になる」というシナリオを描きいち早く売ってしまった人ほど、被害を免れたのです。
特に観光関連や外食関連産業などは、どこまで利益が落ち、それがいつ戻るのかは、予想もできない状況でした。ですからそれらの株は、とりあえず手放して他の投資先を見つけたほうが、利益となったはずです。
そして、株価はその後に急回復を見せましたので、早いうちに売り、底値圏で買い戻した人は、大きな利益を得たことでしょう。
このような時には、計算式を離れて定性的な評価によってロスカットをすることも、重要だといえます。
「計算式によるロスカット」+「定性的な評価によるロスカット」
このように一般的に、ロスカットは機械的に行うほうがよい、といわれています。そのため、基本路線としては「20パーセント値下がりしたら売る」などのルールを定めておき、それに従って売るのです。
しかし、そういった定量的な計算式以外にも、定性的な評価によってロスカットができれば、より一層の投資成績向上が望めることもあります。具体的には、購入後に「株価変動のシナリオ」に変化があったら、ロスカットしてしまうのです。
たとえば、新型コロナウイルスの存在が世間に認知され始めてきた2020年の1月から2月のうちにロスカットしてしまった人は、その後に大きな利益を手にすることができたでしょう。
投資には、多面的な視点が必要なのです。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓